歩くことが大事 NO.お大師様号

平成21年4月21日 

  歩くことが大事 


 今日はお大師様の日ですね。お大師様と言うと皆さんは何を思いますか。そう、お大師様は弘法大師、空海さんですよね。真言宗という宗派の開祖さんです。書道を習っている人は書の上手な三筆の一人ということも知っていることでしょう。

 で、みなさんにお勧めしたいのは「歩くこと」です。今皆さんは毎日どのくらい歩いていますか。もちろん学校の往復は歩いているでしょうが、そのほかにも歩いていますか。どうぞ是非たくさん歩いてください。歩くと体が丈夫になります。それだけではありません。不思議な知恵が生まれます。これは間違いありません。お大師様に倣ってたくさん歩くということをぜひして下さい。

  坐ることが大事

 歩くことと同時にもうひとつ皆さんにお勧めしたいのは坐ることです。この観音寺は禅宗の一派である曹洞宗のお寺です。曹洞宗のご開祖である道元禅師様は只管打坐(しかんたざ)と言ってひたすら坐ることが人間にとって一番大切なことであるといわれました。
 
 それが坐禅なのです。私たちは忙しくあわただしい毎日を過ごしています。おそらく皆さんもそうでしょう。でも、大切なことは振り返って考えることです。私たち人間は何のために人間として生まれてきたのか。そして私の役割、仕事は何なのか。私たちはどう生きればよいのか。忙しい日常の中でわずかな時間でも静かに坐るという時間を持ってみませんか。坐禅をしてみたい人、どうぞ来て下さい。

素直の大事 №15

平成21年4月17日


素直の大事

 私たちが日ごろ慣れ親しんでいる観音経(観世音菩薩普門品)はご存知の通り法華経(妙法蓮華経)にあるお経ですが、同じ法華経のなかに観音経と同じ位親しまれている「寿量品」と呼ばれるお経があります。そのお経の偈文に「質直意柔軟」という言葉があります。文字通り「性質が素直で心が穏やか」という意味です。いつでしたか美輪明宏さんがこの言葉を使っていて吃驚させられましたが、仏さまに対してはこの素直ということ、質直意柔軟が大事なんですね。

 でも、これが難しい。私たちはなかなか心素直になれないんですね。この素直ということの大事さについては同じ偈文にもう一度後の方に「柔和質直者、則皆見我身」という言葉が出てきます。穏やかで素直な人は皆すなわち仏様がここにあって衆のために説法するのを見る、というのです。

 では、何故心素直な人はみな仏様を観ることができるのか。それは囚われがないからなんです。囚われることがないからそのまま仏様を観じることができるのです。翻ってみると私たちはいつも我見、我慢、我痴、我愛に囚われています。わずかな知識と経験を我が見解として固執し、井の中の蛙とも知らずにその我見に慢心しうぬぼれています。我痴、我愛もおなじことです。俺が俺が、で過ごしている限りだめなんです。

 我を捨てる、という言葉があります。修行の根本はこの我を捨てるということなんですね。修行道場に行きますと、修行者はまず最初に徹底的に我をへし折られます。例えその人がそれまでどんな社会的な名声を得ていようが一切関係なく「はい」「いいえ」「ありがとうございます」の三語しか使うことを許されません。その生活を体験して初めて素直ということの大切さを学ぶのだと思います。

花は佛 №14

平成21年4月8日 

花は佛


 先日、ふと「花は佛」という言葉を思いつきました。花の季節、そして今日の花祭りに因んでそのお話をいたしましょう。

 先達て3月の観音様の会の時、「艸(くさ)が化ける」と書いて「花」という字になると申し上げましたね。事実、花は葉が変化したものなのですから花という文字は真実をよく捉えていると思います。信じられない気もしますが、花は葉が変容(メタモルフォーゼ)した結果なのです。

 そうして花を見ますと、私は改めて花に不思議さを覚えずにはいられません。それぞれの花がそれぞれの形、色、大きさを持ち一つとして同じものはありません。桜の花はどうしてあのきれいなサクラ色を作れるのでしょう。チューリップはどうしてあんなに鮮やかな赤や黄を出せるのでしょう。ユリはどうしてあのような形を作れるのでしょう。造化の妙という言葉がありますが、まさに花は宇宙の体現、花即ち宇宙という気がします。

 私たちはお仏壇に花を飾ります。仏様へのお供えですから供花(くげ)と言います。でも、ちょっと考えておかしいと思うことはありませんか。佛様へのお供えならば佛様の方に向けて飾るべきではありませんか。どうして見る人に向けて花を飾るのでしょう。もうお分かりと思います。そうなんです。「花は佛」なのです。花そのものが佛様なのですね。それで見る人に向けて飾るのです。私たちが花に癒されるのは花が佛様だからなんですね。

海外難民救援募金御礼
 先日、お願いいたしました毎日新聞西部社会事業団の海外難民救援募金へのご協力有難うございました。総額8233円になりました。厚く御礼申し上げます。寺分と合わせて送金いたしましたのでご報告申し上げます。




桃は紅、李は白、薔薇は紫。春風に問着すれどもすべて知らず と。<碧巌録>