日は昇り日は沈む №17

平成21年6月17日


日は昇り日は沈む

人生は旅、というのが私の年来の思いですが、一方で人生そのものがよく旅に例えられますね。旅が空間的であるのに対し人生の旅はどちらかと言えば時間的あるいは時空的と言えるのかも知れません。では、空間の旅に始まりと終わりがあるように人生の旅にも始まりと終わりがあるのでしょうか。

と言うと、多くの方が「もちろん、誕生が始まり、死が終わり」とおっしゃると思います。それは間違いではありません。今生というスパンで考えれば、人生は誕生が始まり死が終わりに違いありません。しかし、私は人生の旅は同時に「命の旅」だと思います。そして、命の旅という考えに立った時には永遠の命のリサイクルがあると思うのです。

生物としての人間は生まれたからには死にます。まさに誕生が死の第一歩なのです。これは古今東西永遠の真実です。今まで誰一人としてこの真実に背いた人はありません。遅かれ早かれすべての人に今生の終末、死が訪れます。しかし、命のリサイクルという考えに立てば死は新たな生の始まりになります。誕生は今生の死の始まり、死は次生の生の始まり、なのです。

 毎日、お日さまは東から昇り西に沈みます。しかし、お日さまは西に沈んで消えてしまう訳ではありません。夜、私たちが眠っている間は地球の反対側を照らしてくれています。そしてまた朝になると東の空に昇ってくるのです。私たちにとっては永遠に日は昇り日は沈みます。人間の命もこのお日さまと同じ繰り返しではないでしょうか。

 道元禅師は「生を明らめ死を明むるは仏家一大事の因縁なり」と言われました。私たちが永遠の命を持つ存在であればある程今生をどのように生きるかが大切になってくると思われてなりません。よく生きることこそよく死ぬこと、よく死ぬことこそよく生きること、ではないでしょうか。



あざみあざやかあさのあめあがり~山頭火~