観音妙智力・能救世間苦 №36

平成22年1月19日

観音妙智力・能救世間苦


私たちに親しみの深い仏様と言えばその双璧がお地蔵さまと観音様でしょうね。このお二人の菩薩様はともに似た働きをして下さっており、子安地蔵さんがいれば子安観音様がいらっしゃいますし、延命地蔵さんがいれば延命十句観音さんもおいでです。私たちが輪廻する六道に六地蔵がおいで下さると同時に観音様も六観音としておいで下さいますね。

では、お地蔵さまと観音様の違いはとなると、強いて言えばお地蔵さまは日本では「見てござる」の歌に象徴されるように子供を守って下さる仏様という意識が強いですが、観音様は慈悲(慈しみと憐れみ)をもって私たち庶民の(ばつ)()()(らく)(苦を抜き楽を与える)をして下さる現世利益の側面が強いことでしょうか。

現世利益となれば私たちはそれぞれ勝手なお願いをしますから観音様は三十三観音の言葉通り三十三身に化身して七難を始め多くの苦難を救い、また多くの願いを叶えて下さるという訳ですが、私自身は雨降りの時にそれを感じることが多い気がします。雨がやんでほしいときに観音経を唱えていると不思議に止むことが多いんですね。まさに「降雹澍大雨、応時得消散」(雹が降る大雨も止むことを得べし)なのです。

先日はお参りの方と厄よけの話をしていてこんな話を伺いました。その方の奥さんが大厄の年のある夜遅く尋常でない腹痛を訴えたため慌てて病院に行ったら急を要する虫垂炎だったそうです。ところが、何とその日の当直が外科の先生であったため深夜にもかかわらず手術をしてもらうことが出来て大事に至らず済んだというのです。

 私はこの話は「ラッキーだったのさ」と片づけるには不思議の方が強いと思います。その方も観音様に敬虔な信仰をお持ちの方ですが、やはり観音様のお救いを頂いたのではないでしょうか。お経には「観音妙智力・能救世間苦」とありますが、観音様は妙智力によって世間の苦難を救って下さっているのですね。

  


朝念観世音、暮念観世音
   朝も夕べも観音様を心に思って言葉は一つ、
      観音様有難うございます。