未来の食卓 №57

平成22年9月17日

『未来の食卓』

 『未来の食卓』、と聞いて皆さんは何を想像されますか。未来の、と聞けば中にはカプセル一つでお腹一杯になり栄養満点という食事(?)を思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。日本人は栄養サプリメントが好きな国民と言われていますから私たちの未来の食事って否応なしにサプリメント化するかも知れません。でも、ここで言う『未来の食卓』とはサプリメントの話ではありません。

先達て『未来の食卓』という映画を見る機会がありました。舞台は南フランスのバルジャックという小さな村。 この村の学校給食をオーガニック化するという試みを一年間にわたって追ったドキュメンタリー映画です。オーガニックとは<有機の>という意味です。オーガニック食品とは有機肥料で栽培された農産物です。バルジャック村は学校給食と高齢者の宅配給食をオーガニック食品にするという前例のない挑戦をしたのでした。

この背景には第一に健康の問題がありました。ガンや糖尿病など生活習慣病と言われるその多くは食習慣を含む環境に原因があると言われていますが、これは成人にとっては無論、未来を支える子供たちにとってはより一層深刻な問題です。学校給食をオーガニック化することは食の未来を憂慮した村長の勇気ある決断だったのです。

当然のことながら、試みは決して順調ではなかったようです。しかし、やがて子どもたちが学校菜園での野菜作りを通して自然の味を覚え、そのことによって村全体が少しずつ変化して行ったと言います。映画のジャン・ポール・ジョー監督は言っています。「これからの世界を変えていくには子供たちと母親、そして未来の母親である女性の存在が大きいと思います」振り返って日本の食卓はどうでしょうか。未来を担う子供たちにとって安全・安心な食べ物を提供できているでしょうか。私たち自身にとってどうでしょうか。未来のために私たちは今何をすべきでしょうか。


  君はどんなものを食べているか言ってみたまえ。
  君がどんな人か言い当てて見せよう。
         ~ブリヤ=サヴァラン~