信用・信頼 №157


平成24  930

 信頼・信用

 
 一か月余り、この「かんのんだより」を休んでしまいました。パソコンを修理に出していたのです。かなり以前からパソコン作業中に勝手にスリープ(休眠休止)状態になってしまう症状が現われ、一度修理に出したのですが、その後さらに同じ状態が頻発するようになって仕方なく再度修理をお願いしたのです。
 
 ところが、原因が分からず結局、記録内容をすべて消去して出荷時の状態に戻すリカバリーという作業をせざるを得なくなったために長い日数を要することになりました。このリカバリーをすると記録内容はもちろん、使っているソフト(動作の手順をコンピューターが理解できる形式で表現したもの)も失われますので面倒なことになるのです。
 
 しかし一方、大変感激することがありました。それは東芝集中修理センターの誠意溢れる対応でした。原因究明のための何日にも及ぶ連続検査を始め最後の手段としてのリカバリーに至るまで確認や説明などにその都度懇切な電話を頂いたのです。保証期間中とはいえ無料の修理にそこまでしてくれることには感激しかありませんでした。
 
 会社は商品を作って売ります。しかし、作った商品が不具合を起こした時、それに誠実に対応してこそ作ったもの売ったものの責任が全うされるのでしょう。そして、そこに商品や会社に対する信用と信頼が生まれるに違いありません。負うべき責任を果たしてこそプロだというならば、私はまさにその会社と修理をしてくださった方にプロ精神を見る思いがしたのです。
 
 思いました。 会社も人も困難に遭遇した時が大切。その時どう対応するか出来るかでその会社、人の真価が決まるのでしょう。インスタントラーメン発明王といわれる安藤百福さんに「苦言を聞きわけられる人間は成長するが、甘える人間はその段階で成長が止まる」という言葉があります。まったくその通りだと思います。自分にとっての不都合は自分が成長するためのバネとしてあるに違いありません。素直にそれを受け入れることが大切なのでしょう。


われ病にかゝりて、ここに、まことの人生を見そめき。 
              ~高山樗牛「わがそでの記」~