ネット亡国論 №228

ネット亡国論 №228
平成25年10月25日


                               ネット亡国論 

  つい先達て、夕近く電車に乗っていた時のことです。ちょうど下校時間とあって一団の高校生が乗り込んできました。そのうちの友だち同士らしい男子生徒が四人、ちょうど向かい合って座れる席に座りました。ところが、です。四人は座るや否やそれぞれがスマホを取り出してそれを使い始めたのです。これにはさすがに驚かされました。
 
 同時に考えさせられました。箸が転んでもおかしい年頃の娘とは言わずとも、学校帰りの電車の中なら互いにその日のことを話してこそ楽しいのではないかと思うのですが、友だちを目の前にしながらスマホに夢中というのはヘンというより異常というべきではないでしょうか。これがスマホ中毒かも、と寒々としたものを感じてなりませんでした。
 
 ここ数年、ケータイ・ネットの弊害が強く言われるようになりました。これに起因する金銭の略奪や傷害、性的被害などが続発しているのです。この問題に警鐘を鳴らし続けているノンフィクション作家、柳田邦男さんによれば、いま全国でパソコン、スマホ、ケータイの病的な使用に陥っている中高生が8%、実に52万人近くいるというのです。
 
 結果として、人間関係を損なったり上にあげたような事件、被害が続発したりとなれば、これはもう看過出来ません。柳田さんは「全国の小中高校は保護者と一体になって週に一日プラス年に一回一週間通しの“ノーメディアデー”を実践してライフスタイルを見直すべきだろう」と提唱されています。誠にその通りと思われてなりません。
 
 私が最も恐れるのは若者のコミュニケーション能力が低下することです。 人間関係がスマホやケータイに依存してしまう心配です。人間はロボットではありません。互いの有機的なつながりに生きる存在です。泣いたり笑ったりという感情に生きる人間が互いのコミュニケーション能力を失ったらどうなるでしょうか。
 
 柳田さんは、国に対してもスマホに関する育児ガイドブックをつくるべきだと言っていますが、この問題を放置すれば人間社会が崩壊しかねません。大げさでなく国が滅びることにつながりかねません。どうぞ、皆さまもお子様、お孫様達とこの問題について一緒に考えて頂きたいと願って止みません。




     いつもいっしょ! 人間はもちろん森羅万象 
     いつも一緒に息をする 
     だから一人であっても一人でない 
                             「坂村真民」