遍路に思う №292

遍路に思う №292
平成26年10月19日

遍路に思う
     
     秋風にそよぐコスモスみな笑い思わず吾れも微笑み返す
     廃屋と空き地の目立つ町へんろ励まされゆく老婦老夫に
 
 この1112日、高林寺様主催のお遍路に行って来ました。今回は第24番、高知県室戸市の最御崎寺(ほつみさきじ)からの五ヵ寺です。11日に第28番大日寺、第27番神峯寺(こうのみねじ)を逆打ちし、翌12日は24番に続いて25番津照寺、26番金剛頂寺を順打ちしました。高林寺様有難うございました。上の二首はその道中の体験です。
 
 一首目。私は、歌「お花が笑った」のお花は、コスモスがぴったりと思っていますが、今回のお遍路でその思いを一層強くしました。お遍路する人を癒し力づけてくれるのは路傍に咲く花々ですが、私は秋にはコスモスにそれを感じます。コスモスが一斉に風にそよぐさまは、まさに笑っているようで、それを見ると思わず自分も笑顔になってしまうのです。
 
 その一方、今回のお遍路では、二首目のように道中ずっと、空き家になった家、やめてしまった店、セイタカアワダチソウに覆われた空き地を見ることがしばしばでした。道すがらお見かけするのはお年寄りばかり。子どもの姿はほとんど見ませんでしたが、これこそわが国が直面している少子高齢化の現実にほかなりません。

道途中、20坪ほどの畑一面を黒ビニールで覆い、その覆いが飛ばされないように水を入れたペットボトルを沢山置いているのを見ました。聞けば畑の草取りが出来なくなってやむなく、というのです。高齢化というのはこれが現実です。草取りが出来なくなって畑をシートで覆わざるを得ないという嘆きは高齢化問題の象徴とも言えましょう。
 
 この嘆きは早晩、国全体そして自分自身のことになります。私たちはこれにどう対応したらよいのでしょうか。これからは自らの努力、自助の先に共助がなければなりません。互いに助け合う相互扶助が不可欠です。 公助とともに住民同士がお互いに助け合うシステムが必要になります。これをどのように構築すべきでしょうか。
 
 どうぞ皆さん、この問題を真剣に考えて下さい。人のためではありません。自分自身のためです。明日の自分のためにです。

 


               「情けは人の為ならず」