切に思う心深ければ… №314

切に思う心深ければ… №314
平成27年 3月25日


切に思う心深ければ… 
 
 3月末になりましたね。多くの学校は入学試験も卒業式も終わって新学期を待つばかり。出会いと別れのこの季節、学生の皆さんも新しく社会人になる方々も入学・入社を目前に希望と不安の入り混じった時を過ごしておいでと思います。皆さんが新しい生活に喜びと勇気を持って臨んで下さることを願って止みません。
 
 いつでしたか、渡辺和子さん(ノートルダム清心学園理事長)の「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を紹介したことがありましたね。私が新入学生、新社会人の皆さんにお願いしたいことの第一は、この渡辺さんの言葉です。たとえ入学した学校、入った会社が第一希望ではなかったとしても、そこで全力を尽くして頂きたいのです。
 
 人生、思い通りに行くなんてことはまずありません。大方は望みの半分、いや二三割しか叶わないのではないでしょうか。大切なことはそこからです。望み通りならなかったと自棄(やけ)になったりいい加減に過ごしたりしたら、その人の人生はそこから先の発展がありません。自ら自分の道を閉ざしてしまうことになります。
 
 渡辺さんは「置かれた場所こそが神様が与えてくれた場所」と言われます。そうなのです。置かれた場所こそが自分の場所なのです。そこで頑張らなければ頑張る場所はありません。まずはその覚悟をしっかり持って頂きたいのです。その覚悟で臨んで下さったらきっとそこに人生に関わる気づきを得てくれるに違いありません。
 
 その時、お願いしたいことがもう一つあります。それが表題の言葉「切に思う心深ければ…」です。これは道元禅師のお言葉です。禅師は「切に思う心深ければ、必ず方便も出で来るようもあるべし」と言われました。一心に成し遂げようとする心を持ったならば必ず手だてが出てくるであろう、とおっしゃるのです。
 
 道元禅師はこの言葉に続けて、「これ天地善神の冥加(みょうが)もあって必ず成るなり」(それは天地の神々の目に見えないお加護もあって必ず成就するのだ)と言われていますが、これは本当だと思います。人が一心に努力したならば神仏はその努力の応援をしてくれます。どうぞ皆さんもそのお加護を体験して下さい。



 

           天は自ら助くるものを助く
          (Heaven helps those who help themselves.