「未来責任」 №383

平成28年6月23日

 「未来責任」


 623日は「沖縄慰霊の日」。今年は戦後71年になりますが、沖縄の悲劇は今なお続いているというのが大方の実感ではないでしょうか。先月は嘉手納基地勤務の軍属の男によってうるま市の女性が殺害され、今月またやはり嘉手納基地勤務の女性兵士が飲酒運転で2人に怪我を負わせる事故を起こしています。

  これらのニュースを耳にするたび「またか」と怒りと悲嘆を覚えるのは誰しも同じでありましょう。事故が起きるたびに反省と綱紀粛正が言われながら同じことが繰り返されるのは何故でしょう。私はそこにアメリカの傲慢と不遜を思います。事件に対する真の反省がなく沖縄を軽視する心が潜んでいるからだと思えてなりません。

 私はこれと全く同じことが日本政府によっても行われていると思います。米軍普天間飛行場の辺野古への移設は、その反対を訴える県民の声を無視して計画を変えようとしません。あまつさえ住民を金でたぶらかして分断を図ろうとするような卑劣かつ汚いやり方をするのは沖縄軽視そのもの、政府の不遜と傲慢でしかありません。

 それは結局、悲惨な沖縄戦争に対する真の反省がないことに基づきます。平和の礎となってくれた沖縄への感謝と戦没者に対する真の慰霊が欠けているからです。私たちは自らの問題として沖縄の現実を捉えなければなりません。私たち自身が戦争に対する真の反省と平和への決意を持たなければなりません。

 先達て広島記念講演を訪れたオバマ米大統領は17分に及ぶ演説で「広島の子供たちの平和な日々をすべての子供たちに広げていくことこそが私たちが選択する未来」だと言われました。私たちが共になすべきことがそれです。私たちは「未来責任」、未来に対して責任を持つことをしっかりと認識しなければなりません。


 戦争責任、戦後責任の先にあるのは、未来の子供たち、未来の世界、未来の地球に対する私たちの責任、未来責任です。未来の子供たち、未来の日本をどのようにするかは、いま生きている私たちにかかっています。私たちの責任なのです。他の誰かの責任ではありません。私そしてあなたの責任なのです。
 


           平和、それは、一握の砂。