平成29年11月30日
今回のお遍路をとても楽しみにしたのにお出でになれなかった方がありました。お遍路を計画してくれた神奈川のKさんの奥さん、Yさんです。Yさんとは以前一度ご一緒してその健脚ぶりに驚嘆したことがありますが、まだ超多忙な仕事現役のため自由に日を取ることが出来ずお遍路の度に残念がっていらしたのです。
ですから、今回仕事の段取りをつけてお遍路にお出でになれることを大変楽しみにされていたことは申し上げるまでもありません。ところが、なのです。出発の前日、叔母さんがお亡くなりになったのです。一も二もなくYさんはお遍路を断念されました。傍目にも楽しみにされていたお遍路の断念は察して余りあります。
人生三つ目の坂“まさか”とはこのことでありましょう。思いもしなかった突然の出来事、それも悲しい知らせに楽しみにしていたことが一遍に吹き飛ばされたのです。その時のYさんの心情如何。Yさんは即座にお遍路を断念されました。内心思うことはあったかも知れません。しかし、潔くお遍路を止められました。
いつでしたか自慢で申し上げましたね。まだ30代の頃、私は「雨降れば雨に濡れ風吹けば風に吹かれる」という言葉を思いついたのです。後に相田みつをさんに「雨の日には雨の中を風の日には風の中を」という言葉があることを知ってびっくりしたのでしたが、私は上の自分の言葉を「甘受」ということを考えていて思いついたのです。
人生にはまさかがあります。そのまさかがつらいまさか、悲しいまさか、不都合なまさかであった時、私たちはそれにどう向かえばよいのでしょう。嘆きと恨みで「何で今、この自分に」という愚痴も出るでありましょう。当然と思います。
しかし、その時「よし、分かった」とそのまさかを潔く受けることが出来ればそれこそが甘受です。私が思う甘受は仕方なくではありません。それを自らのこととして積極的に受けるということです。と考えて、まさかの時、私がそれをできるか。全く自信がありません。Yさんに敬意申し上げるばかりです。
そのとき どう動く
~相田みつを~