モードを変える №40

平成22年3月18日 

モードを変える


 菜の花の道一列の遍路なり。この68日、高林寺様主催のお遍路に行ってきました。今回は松山、今治を中心にした15か寺を巡りましたが、小月組九名が加わって大変にぎやかに楽しいお遍路でした。一部分は電車利用を入れた無理のない行程とはいえ、全行程約60キロ、重い荷物を背負って歩けばマメも出来るし疲れも出ます。しかし、初めての方もよく歩かれて全員が予定のコースを完歩することが出来ました。拍手です。


 疲れと言えばお遍路の心を慰めてくれるのが道々の花ですね。今回は初日最初の寺、浄土寺にハクモクレンが満開に咲いていてびっくりしましたが、旅で見る花は心に沁みるものがあります。その点では私は今回は菜の花が一番でした。菜の花は河原や崖際や道野辺など勝手に生えたようなところが多く、道中至る所に見ることが出来ましたが、見るたびに心癒され勇気づけられました。花の力は偉大です。そうそう、それから今回はレモンをたくさん見ました。庭にレモンの木を植えている家が多いのです。愛媛の人はきっとレモンがお好きなんでしょうね。これは新発見でした。

 ところで本題。「モードを変える」という話です。前回、秋のお遍路の時先達のはずの自分が運動不足で苦労したと申し上げましたが、恥ずかしい話、私あの後も運動は全くしていなくて今回も心配だったのです。そして唯一の頼りが「モードを変える」ことでした。モードを変えるというのは心身をその状態、つまりは歩き遍路の状態に持っていくということですね。よく言えば覚悟、悪く言えば開き直るということです。

 火事場の馬鹿力、という言葉がありますが、人間窮地に立つととんでもない力を発揮することがあるんですね。それは瞬間的に心身のモードが変わったということだと思います。今回の私は開き直りのお陰かあらずか苦労せずに済みましたが、皆さまもここ一番の時にはどうぞ念彼観音力でモードを変えて下さい。
  


         一心に名を称うれば観世音菩薩、
         即時に其の音聲を観じて、
         皆解脱することを得せしめん。   
             ~観世音菩薩普門品~