陛下のご信念 №510

陛下のご信念
平成30年10月25日

 先達てNHKのインタビュー番組「ここから」でサッカー女子日本代表監督の高倉麻子さんのお話を伺う機会がありました。高倉さんは選手時代はアトランタ五輪に出場されていますし、監督としてはこの夏のジャカルタアジア大会の決勝で中国を破って優勝していますから、その華々しい活躍は皆さまもご存知でありましょう。

 その高倉さんのお話を伺って感銘したのは、二年後の東京五輪に向けて「意気込まない」と言われたこと、もう一つは普段の心構えであったか「グラグラしない」と言われたことです。「グラグラしない」ということは、俗に言う「ぶれない」ということでしょうが、これは信念があって言えること。信念がなければ「グラグラ」も「ブレる」もありませんね。

 そう考えて、いま平和に対して「グラグラせず」取り組んでいる人はどなたかとなったら、それは天皇陛下と皇后陛下ではないかと思いました。陛下の平成30年間、陛下と美智子妃殿下が一貫して取り組んで来られたのが世界平和と反戦でありました。30年間揺らぐことなく世界平和に貢献されたのが天皇皇后両陛下だと思います。

 今年815日、全国戦没者追悼式に臨まれた陛下は天皇として最後の「おことば」に「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という23字を加えられたと言います。これは悲惨な戦争は苦しみと破壊しかもたらさないという強い信念のもとに加えられた言葉であるに違いありません。

 陛下は先の太平洋戦争が侵略戦争であったこと、兵士のみならず多くの市民がその犠牲になったことを痛哭されているに違いありません。その陛下が皇太子時代から太平洋戦争に関して四つの日をご自身の祈りの日とされていると言います。その四つの日は沖縄戦終結の日、広島・長崎への原爆投下の日、そして終戦の日だそうです。
 
 高倉監督の言葉から思わず陛下の世界平和への信念の話になりました。しかし、いまの時であればあるほど私は陛下の平和への不変のお心に敬意と感謝を思わずにはいられません。私たち世界平和を希求する日本国民は陛下のお心を心として世界人類の平和実現に邁進しようではありませんか。するのは私、そしてあなたです。


天皇は、日本国の象徴であり
 日本国民統合の象徴であって、
 この地位は、
 主権の存する日本国民の総意に基く
          (憲法第一条)
 



アサギマダラ異変 №509

アサギマダラ異変
平成30年10月18日

この数年、ちょうどこの時期には寺を訪れてくれるアサギマダラのご報告を申し上げるのが常でありました。しかし、今年はそのご報告どころか、寺にはいまだ一頭ものアサギマダラも姿を見せていません。今日1018日、例年なら今頃が一番飛来数の多い時ですが、その今ゼロというのはやはり“異変”としか言いようがありません。

 理由は分かっています。アサギマダラが目当てに来るフジバカマが咲いていないのです。「それじゃ当たり前だろ」と言われれば誠にその通り。いま寺のフジバカマの花は申し訳ばかりに過ぎません。花が咲いていなければアサギマダラが来ないのは当たり前。申し訳ばかりの花に期待するのは甘いというより愚かと言うべきかも知れません。

 では、寺のフジバカマは何故咲かなかったのか、です。7月に茎の下の方の葉が枯れているのを見て「水不足か」と以後は毎日水やりに努めました。しかし、その後勢いが回復することはありませんでした。枯れこそしませんでしたが紅色の花のツボミを見せるまでには至らず、猛暑を過ぎた9月になっても状態は同じでした。

 私は花が咲かなかった原因は猛暑に違いないと思いました。年々厳しさを増す夏の暑さ、別けて今年の猛暑にさすがのフジバカマも参ったに違いないと思ったのです。異常気象が災害をもたらすばかりか身近な植物にまで影響を与え始めたと思ったのです。しかし、原因は猛暑ではありませんでした。病気だったのです。

 それは「リフレッシュパーク豊浦」に行って分かりました。この「リフレッシュパーク豊浦」はアサギマダラが訪れるところとして全国的にも有名ですが、そこで話を伺って分かったことがフジバカマは同じ場所で数年すると「白絹病」という病気になり易いということでした。症状を伺うとまさに寺のフジバカマと同じでした。

 かくしてアサギマダラ異変は一件落着。異常気象が直接原因ではないことが分かりました。でも、申し上げておきたいことは異常気象の恐怖がなくなったという訳ではないことです。異常気象が年々激しさを増していることは間違いありません。その影響はいずれ人間にまで及ぶことは必至なのです。ご用心ご用心。


 

花咲カザレバ 蝶見エズ
蝶見エザレバ 花見エズ