平成30年6月17日
人は誰しも自分がしたいこと、しなければならないことを達成するために人間に生まれてきます。その目的なしに生まれてくることはありません。その達成の過程には悲しいことや苦しいことがあるかも知れません。しかし、それが目的の達成のために必要なことであれば人はその悲しみや苦しみも甘んじて忍ぶでありましょう。
ヌイという女の子がいました。ヌイの家は貧しく満足に食べることも出来ませんでした。ある日村に一人の男がやってきて「都会にはいい仕事がある」と言いました。ヌイは家族を助けるため都会に行くことを決め、両親は男から3万円を受け取りました。しかし、ヌイが連れていかれたのは売春宿でした。ヌイの毎日は無理やり客を取らされる苦痛の日になりました。
逃げることも出来ないその苦しみの中でヌイは死の病であったエイズに冒され、今際に一言「学校に行って勉強してみたかった」と言って亡くなりました。ヌイ20歳でした。家族を助けるためだった少女ヌイの決心。しかし実際は騙されて僅か3万円で買われた一生。苦難のうちに終わったヌイの人生に瞑目しかありません。
いまから16年前、この話に衝撃を受けた一人の女子学生が「だまされて売られる子どもを守りたい」とカンボジアに渡り、最貧困の女性への教育と雇用の提供に尽力し、子どもが売られることを防ぐ活動を続けてこられました。その女子学生がいま「子どもが売られない世界をつくる」NPO法人「かものはしプロジェクト」代表、村田早耶香さんです。
村田さんらの活動によってカンボジアではだまされて売られる子どもが激減し同時に幼女を性の対象にする買春も減ってほぼ所期の目的を達成することが出来たそうです。そして今は少女の人身売買がいまだに行われているインドで被害者の心の傷を回復させる取り組みと加害者を処罰する仕組みをつくるプロジェクトをされているそうです。