無常を生きる №67

平成23年1月1日

無常を生きる


       猛暑一転招涼風      暑さもいつか秋を呼び
       秋桜大笑遊碧空      コスモス笑ってそよぐ風
       一年一生亦如是      これが時の流れだね
       無常悠遠不知窮      移りゆくのが人生だ
 
 上は昨年の猛暑を思って作った年頭所感です。本当に昨夏は異常な暑さでしたが、お彼岸中日を境に一気に秋が来ましたね。猛暑に半分枯れかかったコスモスも健気に咲いてくれました。でもその時私が思ったのは時の流れということでした。暑い暑いと言っているうちに秋が来て今度は寒い寒いという冬になります。一年一年はそのように過ぎ一生もまた同じように過ぎていくのではないでしょうか。

 仏教の教えの根本は「諸行無常」ですが、申し上げた通り止めて止まらぬ時間の流れにあるというのが私たち人間と言えます。時間の世界というのはすべてのものが移り変わるということです。一切万物、変化を免れないのが時間の世界なのです。さらに言えば私たちは時間、即ち無常の世界に生きているというより私たちの存在そのものが無常であるということでしょう。私たちは無常に生きるのではなく無常を生きるのです。

 この無常の身を私たちはどう生きればよいのでしょうか。七仏通戒偈という教えがあります。お釈迦さまに至る七人の仏陀に共通の戒めが七仏通戒偈です。その教えは簡単です。「悪いことはしない。よいことをする。心を清らかにする」。ただこれだけです。でも、ただこれだけのことが実は難しい。悪いことはしないは意志の力で出来るでしょうが、よいことをするのはなかなか難しいものです。さらに心を清らかに保つことは一層難しいと思います。努力、トレーニングでしょうか。今年の課題にしたいと思います。
 


   あら玉の初日海よりのぼりけり
         よる年波に心洗はむ
              ~沙門洋仙~




 

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