見えぬものに祈る №21

平成21年8月14日


見えぬものに祈る

 八月は6日が広島平和記念日、9日長崎原爆の日、13日から月遅れのお盆、15日は終戦の日で全国戦没者追悼式、24日は月遅れ地蔵盆と祈りの行事が続く鎮魂の月ですね。
 
 同時に青森ねぶた祭、山形花笠祭、高知よさこい祭、徳島阿波踊り、京都・箱根の大文字焼き等々、全国各地で大きなお祭りがありますが、元はと言えばこれらも先祖や亡き人のみ霊を供養する祈りから始まっているのでしょう。

 考えてみれば、いま日本が曲がりなりにも平和に過ごせているのは貴い犠牲のお陰であることは言うまでもありません。先の戦争で日本は外地で戦死した多くの兵士を初め沖縄戦、東京大空襲、広島・長崎の原爆などで沢山の人たちの悲惨な死、貴い犠牲を払わなければなりませんでした。思い半ばで死んでいかざるを得なかった多くの悲運の魂のことを考えると私は粛然とせざるを得ません。しかし、日本の平和がこれら貴い犠牲によってもたらされていることに思いを寄せるとき、私たちは平和の礎となってくれたみ霊に感謝を忘れずまた再び戦争の惨禍を繰り返すことがないよう決意を新たにしなくてはなりませんね。
 
 それともう一つはやはりお盆、先祖のみ霊に対する感謝ですね。戦後日本の核家族化が進んで希薄になったことが家の縦のつながり、先祖に対する感謝と供養の念ではないでしょうか。私もみなさまも先祖のお陰でいまここに生きているのですし私もみなさまもいずれ先祖の一員として悠久の命の流れに組み込まれていくのです。どうぞこの八月を目に見えない世界の人たちへの祈りの月にして頂きたいと思います。

曹洞宗宝暦にこんな詩が載っていました。

 えなくとも   お花を供えたい
 食べなくとも   美味を供えたい
 聞こえなくとも  話したい
 見えざるものへの 真心は美しい


昼のお星は 眼に見えぬ 見えぬけれども あるんだよ 見えぬものでも あるんだよ~金子みすず~

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