逝くまで元気に №24

平成21年9月18日

逝くまで元気に


今年はこの21日が「敬老の日」ですね。去年は「寿(いのちながし)は寿(ことほぎ)か」と申し上げましたが、日本という国は相変わらずお年寄りにとっては生きにくい国ではないでしょうか。長寿が必ずしも幸せではないという状況は長寿化社会に対応できていない日本の高齢者施策の貧しさを表しているのだと思います。

さてはて、その一方で日本人の寿命はまた延びたようですね。百歳以上の方も4万人を越えたとか。変な言い方になりますが、私たちは「死にたくても死ねない」という時代に生きているのかも知れません。となると、今度は国の施策を待つばかりでなく自分自身がこの時代をどう生きるかということが大切になってこざるを得ません。

そこでモデルとしてご紹介したいのが時々お話しする禅昌寺(山口市小鯖)の町田老師です。老師は今肺炎で入院されていますが、見舞いの私たちに「気は病んでおらぬから病気ではない」「入院していても涅槃の稽古があるし目覚めたら坐禅もあるから大変だ」と相変わらずユーモアたっぷりに私たちを笑わせてくれますが、この老師のこの元気な生き方こそ私たちがお手本にすべき生き方ではないでしょうか。

町田老師とお話ししていると老師はまるでご自分の病を楽しんでいるようです。だからこそ「涅槃の稽古」と言えるのでしょう。それはまさに良寛さんがおっしゃった「災難に遭う時節には災難に遭うがよく候、死ぬ時節には死ぬがよく候。これ災難をまぬがるる唯一の妙法にて候」と同じことだと思います。

 長寿の時代、私たちは少しでも町田老師に倣って自身の置かれた状況を潔く受け入れ、その状況の中で快活に過ごすことが如何に大切かと思わざるを得ません。その昔、「甘受」ということばを考えたことがありますが「人生甘受」こそが元気に生きる秘訣なのかも知れませんね。



よく自分に問うてください
一度ぎりの人生を
どのように生きていくかを
           ~坂村真民~

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