平安を下さい №99

平成23年7月11日

平安を下さい


 先日、三日から八日まで県宗務所が毎週派遣している震災ボランティアに参加して岩手県釜石市に行ってきました。釜石は山口からは1500km、休みなしの運転でほぼ一昼夜、22時間かかりますので正直行くだけで容易ではありませんが、今回も移動喫茶店「おいでませお茶っ子会」が被災の方々にやすらぎのひと時を差し上げる活動をして参りました。

 しかしながら、目の当たりにする現地の被災状況にはただ「えーっ」「あーっ」としか言葉になりませんでした。すでに地震の日から四カ月になりますが現状は瓦礫の撤去も未だしです。廃材や車があちこちに山と積まれ、残っている建物も近よれば柱と壁だけのがらんどう。津波の破壊力のすさまじさには息を呑むばかりでした。

仮設住宅はまだ戸数が足りず避難所生活を余儀なくされている人がいる半面、抽選に当たっても入居しない人がいる等被災者のニーズと現実との落差を感じましたが、喫茶店にお出で下さった方々が(ひと)しくわれたのは今後の生活に対する不安や心配でした。仮設住宅は期限二年とされていますが、二年でめどが立つとは誰も思っていないのです

私たちに唯一救いだったのは皆さん明るく元気なことでした。しかし、その裏には悲しみや苦しみが覆いかぶさっていることは言うまでもありません。「いまは何の楽しみもない」「一人になると亡くなった人のことばかり考えてしまう」とつぶやいた言葉に一人ひとりが必死に堪えている悲痛や不安を思わざるを得ませんでした。あきらめきれない気持ちを「一生懸命働いてきたご褒美がこれだ」と吐き出すように言われた方もありました。
 
不思議な話も聞きました。避難の時の道一つ、信号の青赤の違いが生死を分けたという人。死んだ妻のネックレスが助けてくれたと言う人。津波で死んだ妹の眼から流れる涙が拭いても拭いても止まらなかったという話。どれもが驚くばかりの話でした。
 
 しかし、これら被災された方が一様に望んでいるのは震災前の平安な生活です。心穏やかに笑顔で過ごせる平穏な日が帰ってくることです。七夕短冊に書いて頂いた願いもそのことが一番でした。現実はまだまだそれとは程遠いつらく苦しい状況にありますが、一日でも早く被災された人たちに安穏な日々が戻ることを願って止みません。どうぞ皆さまも復興への祈りを捧げて下さい。

 

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