オーン №117

平成23年11月17日

オーン

     冷気一段錦秋時      身も引き締まる秋となり
     霊光清澄誘静思      澄んだ光に静かに思ふ
     流転光陰是無常      時の流れに知る無常
     秋色松韻天人師      松の響きに聴く仏

 深まる秋に紅葉は赤くイチョウは黄色に色づきました。まさに錦秋の時です。その紅葉を照らす光の中にいるとこの世ならぬ静かさと清らかさを覚えます。秋の光には霊光と呼ぶべき不思議があるように思えてなりません。人はその光に仏を見出し、その光に無常即ち永遠を感じるのではないでしょうか。

 大聖(だいしょう)という言葉があります。仏や菩薩を言いますがお釈迦様を指しても使います。どちらにしても大聖とは文字通り大いなるそして聖なる存在を言うのでありましょう。道元禅師のお歌に「峯の色 渓の響きも みなながら わが釈迦牟尼の 声と姿と」というのがありますが、道元禅師は四季折々の山の色谷川の音にお釈迦様の声と姿を感じられたのでありましょう。

 人は大いなる聖なる存在を前にした時どのようにするのでしょうか。 恐らくは「オーッ」と声を発してそれきりではないでしょうか。私たちがいつも口にしている観音様、お地蔵様、お薬師様のご真言「おんあろりきゃそわか」「おんかーかーかびさんまえいそわか」「おんころころせんだりまとぅぎそわか」には頭にみな「おん」が付いていますね。これこそが聖なる存在を前にした時の私たちの叫び声「オーン」なのです。
 
 いつも申し上げていることですが、私たちは自分の力で存在しているのでもなく自分の力で生きているのでもありません。大いなる聖なる存在によって生かされているのです。来月からはまた来年二月の星祭の準備に入りますが、この星祭こそ私たちが生きていることに感謝し大いなる存在に祈る祭なのです。どうぞ祈りを捧げて下さい。


     ひかりがこぼれてくる 
     秋のひかりは地におちてひろがる
     このひかりのなかで遊ぼう   
              ~八木重吉~

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