野坂さん、その通りです №61

平成22年11月7日

野坂さん、その通りです

 9月のこのたよりで食の問題、特に未来を担う子供たちの食の大切さを申し上げましたが先達て野坂昭如さんが「いびつな飽食の時代」と題して新聞で同じように食の問題を言われていました。野坂さんと言えば焼跡闇市派と言われるほど戦争による飢えの悲惨を訴えてこられた方ですが、その野坂さんから見ると今の日本の食の状況があまりにも異常に感じられるのでしょう。その一つはファストフードや冷凍食品等出来あいの食品が世に溢れる一方で伝統食が減っていることへの危惧ですが、その部分をご紹介しましょう。

 「せめて中学あたりまで、子供の食べるものは親が責任を持つべき。日本人の必須栄養分は米を主食にした伝統食にあるとぼくは思っている。米に、豆、野菜、小魚と海藻。調味料で誤魔化さず、素材の味を生かしたもの、あるいは手塩にかけたお菜を腹八分目食べる」

 「食べものは行動にも影響する。動物実験でも、栄養状態がいいと毛並みはよく、自分でも毛繕いして仲間とケンカはしない。栄養状態が悪いと毛はボサボサとなり仲間を攻撃し、ついには噛み殺したりする。人間も動物、同様である。少年犯罪の増加、親の育児放棄、幼児虐待も少なからず食事の関連があるはず。」22/10/9 毎日新聞)

 引用がちょっと長くなりましたが野坂さんがおっしゃっていることは全くその通りだと思います。今、私たちの食事は給食化、加工品化で益々人任せの道を辿っています。外食は言うまでもなく多くの人が学校や施設での給食を食べていますし、家での食事も出来あいのものが多くなっているのが現実でしょう。私はそのことを一概に否定はしませんが、未来のことを考えるとやはり野坂さんの言葉に耳を傾けざるを得ません。

 道元禅師は「法もし法性(ほっしょう)なれば(じき)もまた法性なり。法もし真如(しんにょ)なれば食もまた真如なり。・・・」とあらゆるもの(法)と食とは平等絶対の真実であると言われました。食は私たちにとってそれほど大切なことなのです。

 


              一代の守り本尊たずぬれば
                   朝夕食べる飯と汁なり  
              大田蜀山人~

0 件のコメント:

コメントを投稿