菩薩実在 No.125

平成24年1月2日

菩薩実在


 去年の、と言うにはまだ生々しすぎる昨年三月の東日本大震災・大津波ですが、あの震災で九死に一生を得た人には不思議としか言い得ない体験を持った方がおいでです。昨年ボランティアに行った時、私もそういう幾つかの話を聴きましたが、つい先日また福島県南相馬市の岩屋寺様から誠に不思議な話を伺いました。

 岩屋寺さんは私が19歳の時の自転車旅行の折お世話になったお寺ですが、寺のある南相馬市は今回の津波で多くの家が流され、沢山の人が亡くなるという大変な被害を受けたところです。岩屋寺さんは寺は無事でしたが、震災の後ご住職は葬場で火葬を仕切る毎日だったそうです。悲しみをよそに火葬に明け暮れる日はどんなに大変だったろうと思います。

 その岩屋寺さんが先日お手紙を下さいました。そのお手紙に「太平洋から百数十メートル先に建っていた小さな虚空蔵堂だけが無事で、ご本尊様が岩屋寺にご遷座されました。土で作った古い仏像です。虚空蔵様より上の家が十数軒流されたのに不思議であります」とありました。そのお堂は十数年前から岩屋寺様が祭礼をしているのだそうです。

 虚空蔵菩薩というのはその名の通り、虚空のように広大無辺の福徳・智慧を蔵して衆生の諸願を成就させるという菩薩様ですが、そのお堂だけがどうして津波に呑みこまれなかったのか、不思議としか言いようがありません。「たまたま」「偶然」としても、何故、たまたま偶然に、と思うとやはり不思議です。その上の家が流されているというのですから。

 私はその不思議こそ神仏の実在を象徴するものだと思います。神様仏様を信じ、如在、在(いま)ますが如くにお祀りすることがその奇跡を生んだのだと思います。 この不思議に出会った地域の方々は改めて虚空蔵菩薩様の実在を確信したことでありましょう。そしてこれから益々その虚空蔵菩薩信仰を深めていくことでありましょう。

 どうぞ皆さま、皆さまも目に見えない存在、大いなる存在に祈りを捧げて下さい。信あるところにこそ神仏が実在し奇跡が顕現されるのです。

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