平成24年2月3日
膨張と収縮
天行久遠而無窮 天の動きに窮みなく
無常永遠而無終 時の流れも終りなし
時膨張亦時収縮 時に膨らみ時に縮むは
人間地球在其中 我らと地球の定めなり
何十年も前のことになりますが、私はその頃住んでいた家のトイレの壁紙の模様を今も覚えています。小さな二つの図案でした。一つは点を中心に紡錘形を十字に配したもの、もう一つはその十字の紡錘形が四方に飛んで花のようになったものでした。何故そんなことを覚えているかと言えば、私がその図案に一つの意味を見出したからでした。
というのは、作者の意図は知らず、私にはその図案が収縮と膨張という自然の法則を意味していると思えたのです。ビッグバンで始まった宇宙は今なお膨張し続けていると言います。宇宙の誕生で生まれた恒星は進化の果てには中心核だけの矮(わい)星(せい)になるものもあります。宇宙に限らず膨張と収縮こそ自然の摂理ではないかと思われたのです。
この膨張(拡大)、収縮(縮小)という見方をすれば世のこと全ての説明が可能と思えました。花というのは収縮している蕾が破裂(膨張)したものでしょうし、呼吸する肺もそうです。心も明るい時は膨張し沈んだ時には収縮していると解することが出来ます。自然現象も社会事象もある時は膨張、ある時は収縮、という変化を繰り返すのが真実と理解されたのです。
無常というのはまさにこのことではないでしょうか。それぞれにスパンの違いはあっても私たちは自分を含めて膨らんだり縮んだりする中で生きていると言えましょう。 天長節、地久節でご記憶されている方もおいでと思いますが、「天長地久」でいう「天地は永遠」というのは無常だからこそです。変化し続けるものは永遠なのです。そして、私たちも膨張と収縮を繰り返す永遠の存在なのです。
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