平和の希求 №298

平和の希求 №298
平成26年12月 5日


平和の希求
 
 今年も残すところ一か月。振り返れば今年も8月の広島の土砂災害で死者74人、9月の御嶽山の水蒸気爆発で死者57人という大惨事がありました。2月には二週連続で日本列島を襲った記録的大雪のために甲府市が陸の孤島化しましたし、つい先達ては死者こそなかったものの長野県北部の地震で多くの建物が倒壊しました。
 
 あの三年前の東日本大震災以来、日本は大規模な自然災害が続いていて、これから先一体どうなるのだろうと不安を覚えている方も多いと思います。しかし、これらの自然災害が地球温暖化に関連したものであるならば、私たちはまさに自業自得、人間のあくなき欲望と傲慢が招いた恐怖の時代を迎えたと言って過言ではありません。
 
 そして私は今年、日本がもう一つさらに恐るべき不安な道を辿ることになったと思います。言うまでもなく集団的自衛権の容認です。閣議決定の段階とはいえ、この延長線にあるのは憲法第九条の破棄破壊であり、その結果の戦争です。戦争というのは他人ごとではありません。人を殺すか自分が殺されるかです。日本はその道を歩み始めたのです。
 
 私たちの曹洞宗は先の戦争に対する反省から、二度と戦争を起こさないという不戦の誓いの下に憲法第九条の護持を宣言しています。日本が戦後69年、平和を保って来られたのは憲法第九条のお蔭なのです。その有難さ大事さを思えば、日本が再び戦争をする国になっていこうとすることに私は怒りと失望を禁じ得ません。
 
 憲法九条が掲げるのは絶対平和です。武力の行使や核兵器の脅威による“平和”ではありません。武力による平和は武力行使の応酬にしかなりません。世界を見れば今なお多くの国で戦争が続いています。そして罪なき人々、幼い命が戦禍に傷つき失われています。この悲しい現実を一刻も早く終わりにしなければなりません。
 
 折しも、この14日には衆議院選挙がありますが、私たちは自分と、そして未来の子どもたちのために平和な日本を維持するための努力をしなければなりません。 私たち一人ひとりの市民意識が問われる時です。この国をどんな国にするのか、それは私たち一人ひとりに懸かっているのです。


 
   みんなが1%生き方を変えれば、社会が変わっていく。
   世界だって変えられる。
                 鎌田實「1%の力」




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