平和の祈り №303

平和の祈り №303
平成27年 1月10日


平和の祈り
 
 今年、平成272015)年は、敗戦の年から数えて70年になります。70年という歳月は短い時間ではありません。昭和20年に生れた人が今年古稀になります。人生七十古来稀なり、という言葉通り、70年という年月は、一人にとっては無論、一つの国、一つの社会に時代的変化をもたらすほどの時間ということが出来るでありましょう。
 
 そう考えた時、私が最も痛切に思うのはこの歳月における戦争体験の風化です。いま国民のうちで戦争を直接に体験した人はごく僅かになりました。仮に現在90歳以上の方が直接体験者とすればその数は177万人ほど、人口総数の1.4%です。それはそのまま、戦争の話を聴いて語り継ぐ人も少なくなっていることを表わしています。
 
 そんな中、天皇陛下がこの元日の新年のご感想で戦争のことを述べられました。この戦後70年という時に「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」と言われたのです。私は陛下のこのお言葉に深い敬意と共感を覚えてなりませんでした。
 
 陛下は先月19日のお誕生日での記者会見でも、先の戦争で亡くなった300万人もの人々の死を無にすることのないよう、「日本が世界の中で安定した平和で健全な国として、近隣諸国はもとより、できるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう、切に願っています」と言われました。
 
 天皇皇后両陛下、皇太子殿下は折に触れて憲法と平和の大切さを述べておられますが、この度の陛下の新年のご感想、そして先月の記者会見でのお言葉を伺って改めて陛下のお心に深い感銘を覚えました。今年が戦後70年という節目の年であるとはいえ、戦争の歴史を十分に学び、とおっしゃる裏に今という時代の危険性をお感じに違いないと思うのです。
 
 私たちが、そしてこの日本が再び戦争の道を歩むことがないよう私たちは陛下のお心を胸に平和への祈りを続けたいと思います。これは皆さまにも是非お願いをしたいと思います。世界の平和が実現するためには私たち一人ひとりが平和への不退転の決意とそれに伴う行動をしなければなりません。平和は自らが創るものなのです。

 
 

                 失って、その有難さを知るもの。
                 親、伴侶、平和。






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