陛下のお心 №320

陛下のお心 №320
平成27年 5月 1日


陛下のお心 
 
 先達て49日、天皇、皇后両陛下がパラオ共和国のペリリュー島を訪れ、その島だけで一万人と言われる戦没者の慰霊をして下さいました。「西太平洋戦没者の碑」に日本から持参した白菊を供えて深々と一礼される両陛下のお姿を拝見して私は深い感動とともに両陛下への感謝と敬意を覚えざるを得ませんでした。
 
 両陛下はまた、1200人が亡くなったというアンガウル島が見える場所に移動して同島を拝礼し、さらにその後、「米陸軍第81歩兵師団慰霊碑」を訪れて黙とうを捧げられたと言います。私はこの両陛下のお心と祈りこそ真の慰霊であり、世界の平和を祈る真の祈りだと思います。怨親平等という言葉がありますが、戦争犠牲者に敵味方はありません。
 
 翻って日本の現状はどうでしょうか。現政権による集団自衛権の閣議決定以来、武力に頼んだ“平和”のために安保関連法案が改定され、ガイドラインと呼ばれる日米防衛指針が改められて自衛隊の武力行使が当然になろうとしています。これは憲法違反です。憲法を改定しないまま第9条を破棄することになるのです。
 
 自公両党は集団的自衛権の行使の要件として、安保関連法案に“存立危機事態”を入れたり国会の承認を規定したりして歯止めとしていますが、これが机上の空論、砂上の楼閣でなくて何でしょう。あまっさえ国会承認に事後承認まで容認というのでは国会承認などないも同然です。一度戦争になったら主戦論が先に立つのは言うまでもありません。
 
 日本が今このように集団的自衛権にこだわる背景には軍事費を増強させている中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威がありますが、それを懸念して日本が武力の行使を容認していけば、それは果てしなき愚かな軍拡競争に戻ることにしかなりません。戦争を反省するということはその過ちを繰り返さないということなのです。
 
 天皇陛下は常々、戦争の反省と憲法の大切さを述べておられますが、今回のパラオご訪問とそこでの慰霊は平和を失いかけている日本の現状への警鐘に他なりません。陛下のこの貴いお心を私たちはしっかりと胸に刻み、日本が再び戦争の道に進まぬよう平和の決意
を新たにしなくてはなりません。 


             また、この言葉。
            「平和をあなたにもたらすことが
             できるのはあなただけだ」   
                         エマソン










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