耐え忍ぶ №365


耐え忍ぶ
平成28年3月1日


 3月になりましたね。この冬は暖冬予報でしたが、反して結構寒い日も多く、特に立春以後に冷え込む日が多かったように思います。1月初め小寒になった頃は確かに暖かく、このたよりでも境内の紅梅が一カ月以上早く咲いたことを申し上げましたが、その後大寒の頃は節季通りの寒さになりました。寺の日誌にも「寒」「極寒」の記述が残されています。
 
 暖冬のたよりの中で、朝のお勤めの時に打つ鐘や木魚の撞木に冷たさを感じないのは、何かずるをしているような気がすると書きましたが、お蔭さまで(?)大寒からはこの後ろめたさは吹っ飛びました。その後は毎日、氷のようになった撞木の冷たさをいやというほど感じさせられましたし、一度治った手の霜やけも見事(?)復活でした。

 こうして寒い冬を過ごしますと春の到来が待ち望まれますね。時あたかも卒業と就職の季節。高校や大学を卒業し、新たに進学や就職を控えている若い皆さんは、この別れと出会いの三月に特別の感慨を持って過ごしているのではないかと思います。新たにどの道を進まれようともお一人お一人が幸せな出発をして下さることを願って止みません。

 そう思いながら、一つだけその皆さんにお願いしたいことがあります。それはこれからの生活の中で「耐える、忍ぶ」ということも学んで頂きたいということです。春の喜びは冬の厳しさがあってこそです。冬の寒さを堪えて忍ぶからこそ春を待ち望み、その到来を喜び楽しむことが出来るのです。

 私たちの人生、どの道もどの時も決して楽しいことばかりではありません。むしろ苦しいこと、つらいこと、悲しいことの方が多いかも知れません。どんなに頑張ってもうまくいかない時、裏目が続く時もあります。でも、その時は耐えるしかないのです。じっと我慢するしかないのです。そして、その時こそ自分が成長する時なのです。

 唱歌「早春賦」に「谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず」という詞がありますね。ウグイスは冷たい風の中で自分の時がくるまで耐え忍びます。我慢すれば必ず「その時」は来るのです。どうかお若い皆さんも自分の進む道での困難や試練に敢然と向かい、忍ぶ時は耐え忍んで下さい。皆さまの幸せを祈っています。



                       辛抱の木に花が咲く

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