平和大師堂落慶 №423


平和大師堂落慶
平成29年3月17日


 平和大師堂がめでたく竣工致しました。お堂建設を思い立って皆さまにご寄付をお願いして一年、立派な大師堂が出来上がりましたこと誠に有難く、ご寄付を下さった皆さま、山角大師講様初め、趣意を広めるためにお力を下さった方々、建築に当たられた久谷建築様等、関係の多くの皆さまに深甚の感謝を申し上げ共に落慶を喜びたいと思います。

 そもそも寺が大師堂建設を思い立ったのは、小月(やま)(かど)大師講様から「講を閉じざるを得なくなったがお像をどうしたらよいか」というご相談が発端でした。山角大師講は百年の歴史を持つそうです。しかし、ご多分に洩れず山角も後継してくれる人がなくて遂に講の解散を決意せざるを得なくなったというのでした。

 この山口県にはあちこちにお大師さんに関わる行事を持っているところがありますが、別けて小月地区には421日の御正忌を「お大師さんの日」として旗アメや菓子、赤飯等をお接待する講や個人の方が多くおいでになります。しかし、時勢とはいえこのよき風習が近年失われつつあることは残念と申すしかありません。 

 昔からの地域の行事、取り分け宗教性を持った行事は、その地域住民の力を維持し、共同体存続に多大な効果をもたらします。また私がこの行事にさらに意義を思うのは、「お大師さんの日」が子どもたちの行事でもあるからです。子どもたちが旗アメやお菓子を下さる場所を巡り歩くのはお遍路の札所巡りと同じでありましょう。

 私は子供の時のそのような体験こそが宗教性の涵養になり、やがてそれが宗教心に繋がっていくのだと思います。その意味で今ここに皆さまのお力で大師堂が作られた意義は誠に大きなものがあると思います。この大師堂が小月に伝わる「お大師さんの日」の継続に僅かでも寄与できることを願って止みません。

 この大師堂を「平和大師堂」と名付けました。それは上に記した働きが出来ることと同時に日本および世界の平和を祈りたいと思うからです。世界は平和ではありません。今なお多くの罪のない人々、いたいけな子どもたちが戦禍に命を奪われています。皆さまとともに改めて世界の平和を祈りたいと思います。
 
  仮の世に知行争う無益なり

    安楽国の守護を望めよ
          ~四国88ケ所第6番安楽寺ご詠歌~




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