「棲(す)み合(あ)いの論理」 №520

()()いの論理」
平成31年1月8日
 
 大変な感銘を受けた本があります。それが表記の「棲み合いの論理」です。副題に「近縁種は競争しない」とあるこの本、蝶の世界の話です。著者中井衛さんは宇部興産研究所でのご研究の傍ら中学生時代からの蝶の観察を続けてこられたお方。ご自分では「アマの観察」と言われますが本の内容は高度な研究そのものです。

 それだけに私がこの「棲み合いの論理」をどこまで皆さまに伝えられるか自信がありません。とんだ見当違いのことになりはしないかと不安ですが中井さんのお考えの要点だけでもお伝えできればと思います。私は中井さんが言われる「棲み合い」こそが生物のあり方の真実だと思えてなりません。その一端を皆さまにご紹介できればと思います。

 まず本題の「棲み合い」。これは「棲み分け」に対する中井さんの造語だそうで、その概念は「相手を排除するのではなく、また競争を避けて別々の場所に棲み分けるのでもなく、近縁種が同一の環境に相互に混棲するという考え方である」と言われます。中井さんは長年の蝶の観察から「棲み合い」こそ「生物本来の姿」と思い至ったと言われるのです。

 では何故この「棲み合い」がされるのか。その理由を中井さんは「近縁種の棲息域が完全に分離してしまうと再度遭遇した時に交雑が多発し互いに絶滅の危機に陥る可能性がある。これを避けるため常に分布域が重なるように行動し、互いの種の識別能力を失わない仕組みが維持されているのではないか」と推論されたのです。

 中井さんは「混棲・棲み合いして種の識別能を残すことが相互に生き延びることにつながる。この棲み合いこそ本来の姿である」と言われます。そしてこの「棲み合い」に「生物多様性の原理が秘められている」と言われるのです。蝶という小さな生き物の生き方の中に生物多様性の原理があるということに私は感銘を受けざるを得ませんでした。 

 私はこの「棲み合い」に生物多様性の原理があるという指摘に生命の神秘、宇宙の神秘を思わざるを得ませんでした。そしてその神秘こそ地球民族・国家が平和に共存していく原理ではないかと思えたのです。世界人類の平和はまさにこの「棲み合い」によって実現するのではないでしょうか。
 
 

  「棲み合い」の発見は
   ノーベル平和賞ではないかにゃ~ん

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