ままならぬ人生 №595

 ままならぬ人生

令和2年7月17日

 週刊現代(627日号)に「ままならないのが人生」という特集記事がありました。「人生には仕方ないことがある」「人は与えられた運命を生きている」「思い通りにならないことを楽しむ」「何があっても感謝、いいことは後からくる」など幾つかについて有名人が自分のこれまでを振り返っていて大変興味深い記事でした。そのうちの二つをご紹介しましょう。

 その一。ミスタータイガースと呼ばれた田淵幸一さんは選手生活の初めから予想外のことばかりだったそうです。まず確実視されていたドラフト会議での巨人指名が阪神と知って巨人に行くことだけを考えていた田淵さんは19日間悩んだと言います。それを吹っ切ることができたのは恩師の「野球はどの球団でも変わらない。十年頑張れ」という言葉だったそうです。

 しかし、入団二年目には左こめかみにデッドボールを受けて命の危機に瀕し、その後も腎臓炎や膝の故障など次々に困難に逢いますが、その時思ったのが「人生は予期しないことばかり。その時いる場所でできることをやるしかない」ということだったそうです。「人生後ろ向きになってはダメ」というのが今の思いということです。

 その二。落語家の柳家三壽さんは12年前、62歳の時に前立腺がんを宣告されたそうです。でもその時、三壽さんはガンを敵とみなして撲滅しようとする考えに違和感を覚えて、以来これまで手術や治療を一切受けずに生きてきたと言います。ガンに立ち向かうのではなくガンと折り合いをつけて行く道を選んだのだそうです。

 ガンと折り合いをつけるというのはたとえるなら家主と居候のような関係。居候に家を乗っ取られないように大人しくしてもらって生きるというのです。三壽さんはいま「自然の流れに身を任せていると案外楽しく幸せに生きられる」と思っているそうですが、これを「一病息災」というのでしょうか。達観と言うべきと思います。

 今回はお二人しかご紹介できませんでしたが人生途中に遭遇したケガや病気や事故にどう向き合ったかでその後の人生が変わったという話は大変興味深いものがありますからまた機会があったらご紹介したいと思います。誰もがぶつかる人生の「まさか」。そこにこそその人の人生があるのかも知れません.

 

 長い人生にはなあ どんなに避けようとしても

 どうしても通らなければならぬ道――てものがあるんだな 

                      <みつを>

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