みるく世(ゆ)ぬなうらば世(ゆ)や直(なう)れ №640

みるく世(ゆ)ぬなうらば世(ゆ)や直(なう)れ

 令和3年7月8日  

 沖縄県民の4人に一人、20万人もの人が亡くなった沖縄戦から76年、糸満市摩文仁の平和祈念公園で「慰霊の日」の6月23日、今年も「沖縄全戦没者追悼式」が行われました。沖縄はまだコロナの緊急事態宣言が発令中のため参列者を36人に絞ってて営まれました。そぼ降る雨の中「平和の礎」を訪れた多くの人が慰霊の手を合わせました。

  表題の「みるく世(ゆ)ぬなうらば世(ゆ)や直(なう)れ」(平和な世がやってきて、みんなの暮らしが良くなりますように)は追悼式で平和の詩を朗読した宮古島市立西辺(にしべ)中学校2年上原美春さんが作った「みるく世(ゆ)の謳(うた)」の言葉です。「みるく世(ゆ)」という言葉は6年前の追悼式で当時与勝高校3年だった知念 捷(まさる)さんが朗読した平和の詩にもあったことをご記憶の方もお出ででしょう。 

 戦後76年、沖縄の人々は平和を取り戻したでしょうか。非業の死を遂げた人びとへの悲しみ苦しみから癒えたでしょうか。いやいやなのです。今なお沖縄の人たちが「みるく世」を願い続けている現実は悲しみが悲しみのまま「みるく世」からは程遠いところにあります。私たちはその現実をどう受け止めるべきでしょうか。 

 以前にも申し上げました。国土面積0.6%の沖縄県に米軍専用施設の70.3%が集中しているために沖縄では今なお騒音と環境問題初め米軍関係の事件事故が後を絶ちません。そしていま一番の問題は辺野古基地です。この辺野古基地建設に沖縄県民は二度も反対を明らかにしているにも拘らず国は「これしかない」と県民の願いを踏みにじり続けています。 

 玉城デニー知事は平和宣言の中で「多様性や価値観の違いを認め合い、対立や分断ではなく、協力して共に歩み、核兵器の廃絶、戦争の放棄、恒久平和の確立のため不断の努力を続けていく」と言われました。同時に先人の「万国津(しん)梁(りょう)」(世界の国々をつなぐ架け橋)の精神を受け継いで「沖縄のこころ・チムグクル」を世界に発信していくと言われました。 

 沖縄慰霊の日の上原さんの「平和の詩」と玉城知事の平和宣言を聞いて私は二人の心に深く感銘を受けました。いまなお癒えぬ沖縄の人たちの苦しみと悲しみ、沖縄の人たちの切なる願いは日本人全員の苦しみと悲しみそして願いであるはずです。沖縄の人たちの願いが叶えられるか否かは私たちにもかかっていると思います。 

  みるく世を創るのは 

  ここにいるわたし達だ 

       ~ 上原美春 ~

0 件のコメント:

コメントを投稿