ネコちゃんの“人徳” №87

平成23年5月25日

ネコちゃんの“人徳”


 先日、娘がメールで「今日は住職ネコちゃんの四十九日ですね。ネコちゃんはきっと観音様になってお寺を守ってくれてるんでしょうね」と言ってきました。娘は大のネコ好きですし、四月四日夜、ネコちゃんの異変に最初に気づいたのも娘でしたから思い一入だったのでしょう。

 御礼です。ネコちゃんの逝去にその後沢山のお手紙とお悔やみを頂きました。それらを読ませて頂き、私は改めて住職ネコちゃんの徳望を偲んでいます。「たより」の中でしかネコちゃんをご存じない方からも「雰囲気を感じていました」とか「気高い魂を持ったネコちゃんだったに違いありません」等とお悔やみを頂きました。「多くの人を癒してくれた生き方が死に方に通じると感じました」という言葉には共感を覚えました。

 また、生前のネコちゃんを知っておられる方たちは一層「残念」の思いを下さいました。以前寺に来てくれた神奈川の小学生H君は「可愛かった住職ネコちゃんにもう一度会いたかったです」と手紙をくれましたし、たよりを愛読して下さっている方からは「いつもたよりで有難い言葉を運んでくれました」と感謝の思いを頂きました。

また、住職ネコちゃんには多くの方が不思議なものを感じて下さっていたようです。その中には「もしかしてネコの姿をした人間ではないかと感じることもありました」と言って下さった方もあります。禅の世界に不離(ふり)(そう)(りん)(修行道場から離れないこと)という言葉がありますが、ネコちゃんはその言葉通り16年間一生寺を離れずに過ごした訳ですから住持(住職)そのものであり、不思議な力をも持ったのでありましょう。
 

 私の親しい友人はネコちゃんの死を「遠くから来た新米和尚を心配して後輩を育てる気持ちで日々を過ごしてきたがどうやら大丈夫と安心して逝ったのだろう」と解釈してくれました。私はその言葉に救われました。まだ時折「あぁ、いないのか」と思うことがありますが、娘が言う通り今は天国でお詣りの方々を守ってくれているのだと思います。本当に大きな“人徳”を持ったネコちゃんでした。ネコちゃん、皆さん、有難う。  
 

二度とない人生だから 
まず一番身近な人たちに
できるだけのことをしよう 
         ~坂村真民~



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