チョウの世界 №104

平成23年8月10日

チョウの世界

      酷暑炎熱焦天地     何と今年も暑い夏
      草木甘受過有時     草木もひたすら耐えるこの時
      転眼見炎天青蝶     炎天に飛ぶアゲハ蝶こそ
      法性真如存此裡     全てのものの真実の姿
 
 上は今日、火除け法要の法語です。昨年の法要の時も酷暑にじっと耐える草木の健気さについて申し上げましたが、今年はその酷暑の中を悠然と飛ぶアオアゲハを見て些か感動を覚えました。で、その時浮かんだ一首が「めくるめく 炎天を飛ぶ アゲハ蝶 かよわきものの 芯のつよさよ」です。
 
 一体、あのか弱い蝶のどこに夏の炎熱をものともしない力があるのでしょう。クモの巣から逃れることもできない蝶なのにどうして炎天を悠々と飛べるのでしょう。考えてみれば蝶の中にはアサギマダラのように何千キロもの旅をするものもありますし、亡き人が蝶になって現れるとも言います。蝶は人知の及ばない不思議な力を持った生物なのかも知れません。

 私はその時ふと、私たちが見ている蝶はひよっとして人間とは別次元を生きているのではないか、時空を離れた世界を生きているのではないかという気さえしました。時空の世界にいるものが時空を超えた世界や存在を見ることは不可能なはずですが、実は蝶は物質や時間を離れた世界にいるのではないかという妄想に駆られてなりませんでした。

 今年もまたお盆の時期になりましたね。私はお盆というのは真理の世界を味わうことではないかと思います。仏様の世界は絶対真理の世界です。お供え物を上げて位牌などを飾る精霊棚はその真理の世界を表わしたものでありましょう。ですから、お盆というのはご先祖様に対する供養であると同時に自身の本体である真理に向き合うことだと思います。真理とは真如です。仏そのままなのです。



花開くとき 蝶きたり
蝶きたるとき 花ひらく
        良寛「良寛詩集」

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