長寿を生きる №220


長寿を生きる
平成25年9月17日
 今年、下関市在住の百歳以上の方は186人だそうです。下関市の人口は約28万人ですから、ほぼ千五百人に一人が百歳以上ということになります。下関市では百歳以上の方が年々増えている傾向にあるそうですが、ちなみに私が住んでいた神奈川県の大磯町では人口32000人に対して22人だそうですから、長寿の割合はほぼ同じということになりますね。

 しかし、長寿社会はめでたいか、となると、話は別です。日本が益々高齢化していることは言うまでもありませんが、わが国のありようが、その長寿社会に対応しているかといえば、否否(いないな)と言わざるを得ません。今や「老人漂流社会」と言われるほど、行きどころを失った高齢者が増え続ける国が高齢者にとって幸せな国であるはずがありません。

 先だってのたより「飛躍逸才」でご紹介した梶原スミさまのように101歳になられて益々お元気にご活躍という誠に幸せな方もおいでですが、これはむしろ特別のご存在ではないでしょうか。ご高齢の方の中には「早くお迎えが来てほしい」と思っている方もおいでかも知れません。長寿社会というのは、反面「死にたくても死ねない」ということにならないでしょうか。

 ということは、私たちは人生の後期をどのように生きるかが課題にならざるを得ません。以前申し上げましたように、死に方は選べなくても生き方は選べるのですから、人生、有終の美を飾る決心で生き方に力を注ごうではありませんか。ご参考までに素晴らしい例をご紹介しましょう。物理学者・米沢富美子さんの「生きるモットー」(ラジオ深夜便9月号)です。
 
 米沢さんは五つの生きるモットーをお持ちといいます。一つ目は、自分の可能性に限界を引かないこと。二つ目は、まず行動に移すこと。三番目は、めげないこと。四番目は、やりたい仕事に優先順位をつけること。そして五番目は集中力を養うこと、だそうです。さすがに研究と同時に三人の娘さんの子育て、夫の看取り、母の介護をされてきた方と敬服です。
 

 米沢さんのおっしゃるように、自分に限界を引いて行動を起こさなければ何も始まりません。行動を起こしても集中せず途中でめげてしまっては元も子もありません。私たちも米沢さんのチャレンジ精神に倣って、この五つのモットーを少しでも実践できるように努めようではありませんか。人生はチャレンジです。


   人はやろうと思わなければ箸の一本も動かすことはできない。 
                ~夏目漱石「教師の道標(みちしるべ)」~

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