「まだ苦しみが足りない」 №241


「まだ苦しみが足りない」 
平成26年1月7日

 暮れのうちのことですが、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」にイチロー選手が出ていました。日米通算安打4000本という偉業を達成した稀有なる人、そのイチローさんが番組の中で「まだ苦しみが足りない」と言われたことには驚きと共に大きな感銘を受けました。この人にしてなおそうか、という思いでした。


 イチロー選手の人となりを伝えようとする時、ストイック(stoic)という言葉が使われることが多いと言いますが、この場合のストイックには、「禁欲的な」という意味よりも「修行者」というイメージが込められているのでしょう。イチロー選手には“野球道”に徹する気迫と同時に恐ろしいほどの冷静さがあると思います。

 イチロー選手の「まだ苦しみが足りない」という言葉を聴いた時、いまわが国は多くの分野で仕事意識の低下が進んでいるのではないかという思いを募らせていましたので、その言葉は一層胸に響きました。「まだ苦しみが足りない」という言葉は、イチロー選手だからこその言葉と言えましょう。しかし、それは同時に私たちにも当てはまる言葉なのです。

 近年よく聞く「頑張らない」という言葉があります。確かに頑張りすぎて倒れそうになっている人には大切な言葉です。しかし、「頑張らないで!」言って貰える人は存外少ないのではないでしょうか。むしろ多くはもっと一生懸命、もっと頑張ることが必要ではないでしょうか。初めから頑張らない、では何の意味もないのです。

 人生は頑張るからこそ意味がある、苦しむことに意義がある、と思います。出来れば苦しいことは避けたいと思うのが人情ですが、むしろ苦しみの多い人生ほど実り豊かな人生とは言えないでしょうか。我が身を振り返って忸怩たる思いに駆られながら、なおイチロー選手の言葉に勇気と反省を新たにしました。

            <フィリピン台風被害救援募金御礼>
 ご報告が遅くなりました。皆さまにお願いいたしましたフィリピン台風被害救援募金は全部で7210円になりました。昨年末、寺分と合わせて12210円を日本赤十字社宛に送りました。ご協力に感謝し厚く御礼申し上げます。

 
     「失敗と屈辱を 
      身体に刻み込む」
                ~イチロー~

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