友だち介護 №273

友だち介護 №273
平成26年 7月 2日 
 
友だち介護

  老いた妻が老いた夫の介護をする類の「老々介護」が言われて久しくなりましたが、長寿化とともに「おひとりさま」が増えている今、介護をしてくれる人が誰もいない「無介護」が増えていくのも当然になりました。これから長寿の人が多くなればなるほど、この「無介護」は、私たちにとって切実な問題になるに違いありません。
 
 先達て、新聞の投書欄に「親しい友を看取るのは変ですか」と題して、この問題が載っていました(6/20付朝日新聞)。投書したのは79歳の女性です。20年来文通を続けてきた高校時代の友人男性の最期を看取ったそうですが、女性の投書の動機は、自分が取ったその行動に対して、別の友人から「違和感がある」と言われたことにあるのです。
 
 ことはこうです。妻を亡くして一人暮らししている高校時代の友人が末期の肺がんと知って、その女性はすぐさま介護を申し出ます。最初は“あっさり”断られたものの、そのままの気にはなれず、一週間後、寝袋持参で押しかけ、男性が亡くなるまで一ヵ月、食事から下の世話まで介護に当たったのですが、それを聴いた一人の友人に違和感を告げられたと言うのです。
 
 介護を受けた男性は有難く思ったことでしょうから、違和感を言った人の思いは恐らく、夫婦ではない男女、ということにあるのでしょう。が、死を間近にしているがん患者と介護者が男女の話になるはずもなく、朝のお勤めの後の皆さんの感想も同じことでした。むしろ、女性の介護への決心こそ褒められるべきではないでしょうか。
 
 初めに申し上げましたように、介護を必要とする身になっても介護をしてくれる人がいないという例が、これから切実な問題になるに違いありません。投書の例も「妻に先立たれ、子どもはいるものの海外。施設療養をすべて断られて」ということだったそうですが、こういう事例がこれから稀でなくなれば無介護は増えるばかりと思われます。
 
 こんな話をしていたら「老後は気の合った友だち同士で一緒に暮らしたい」というグループホームの希望が出ました。友だち同士の順番介護はいいかも知れませんね。気兼ねも遠慮もなく楽しく暮らして、時が来たらその友だちに看取って貰うというのはおひとりさま時代の一つのよい形かも知れません。皆さんもお考え下さい。

  
                     朋あり、遠方より来る、
                 亦た楽しからずや。
                    <論語>









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