まちづくり №274

まちづくり №274
平成26年7月7日



まちづくり
 
 いま、「自治体消滅」が話題です。これは先々月、日本創成会議(なんてあったんだ)の人口減少問題検討分科会がまとめた「地方から大都市圏への人口流入や少子化が止まらなければ、2040年までに、いまある1800の市区町村のうち896自治体が消滅する」という“推計”が報道されたことにあります。これには皆さんも驚かれたことと思います。
 
 しかし、本当にそうなってしまうのかとなると異論もあるようです。第一、消滅ということの実体が想像できませんよね。そういえば、「限界集落」という言葉も聞いて久しいですが、この限界集落が本当に消滅したという話は聞きません。存外したたかというのが集落、つまりは地域のつながりは強い、ということなのでしょう。
  
 とはいっても、問題が消滅している訳ではありません。先行きどうなるかという不安は、依然としてあります。となれば、必要なのは対策。どの自治体にとっても、不安解消に何をするかが求められていることは申し上げるまでもありません。町おこし村おこしよりまちづくりむらづくりということになります。
 
 Sさんの御子息は神奈川県にお住まいですが、いまこのまちづくりに一生懸命なのだそうです。Sさんにしてみれば、仕事の資格を取ることをまず優先して貰いたい気持ちですが、ご子息は今「地域共同体」の復活に熱心というのです。伺って私は素晴らしいと思いました。地域が消滅するかしないかは、共同体意識、相互扶助があるかないかだと思うからです。
 
 それで思い出したのが、以前「生者と死者」(№139)で紹介した社会人類学者ウィリアム・ウォーナーの研究です。ウォーナーは、急激な都市化の中で生き残った町や村が、共通して郷土の英雄英霊を崇め、それを守り続けていたことを知り、それはとりもなおさず、生者と死者が連結して生み出している力だと結論したのです。
 
 まちづくり、むらづくりの最も大切なところはそこではないでしょうか。地域共同体は相互扶助と同時に生者と死者が連結した共同体でなければなりません。そのことができて初めて共同体と言えるのだと思います。まずは個人が、次に地域が、死者に思いを致すことが人間世界の基本なのです。


 


    星が散る夏の夜に あなたの送り火灯し 
    遠く過ぎた幼い日に ひとり思いをはせる・・
          <月の輪>作詞作曲:安来のおじ










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