心の持ち方 №283

心の持ち方 №283
平成26年 9月10日

心の持ち方
 
 新聞の投書に学ぶ生き方、その③は、ある川柳に目からうろこの落ちる思いをされた51歳の男性、Iさんの投書です。毎日新聞には一面に「仲畑流万能川柳」という人気絶大の川柳コーナーがありますが、Iさんはそこに載っていた「貧だけど困ではないよ楽しいよ」(仙台・はらほろひ)という句を見て心の持ちようが変ったというのです。
 
 投書によれば、Iさんは長年体調を崩していて収入は下がるばかり。おまけに四月からは苦しい家計に追い打ちをかけるような消費税アップで、「貧困」としか言いようがない状態になり、暗い気持ちで過ごしていたのだそうですが、その時Iさんが目にしたのが、上の川柳「貧だけど困ではないよ楽しいよ」だったそうです。
  
 Iさんはこの句を読んで「貧」と「困」が必ずしもセットではないことに、眼からうろこの気づきを得て「経済的に余裕がなくても、心の持ちようで何とかなるかも知れない」と思ったというのです。Iさんはその気持ちを「信頼できる家族がいたり友人がいたり、工夫次第で楽しく暮らすことも出来る。もうちょっと頑張ってみます」と結んでおられます。
 
 この投書を読んで、私はIさんが、ご自分の生活を気持ちの上で一変させる気づきを得られたと思いました。心の持ちようを変えても収入が増える訳ではありません。恐らく家計は苦しいままでしょうが、心の持ち方を変えることで苦しさが苦しさでなくなり、逆に工夫で苦しさを楽しさに変えることさえ出来るかも知れないのです。
 
 私はIさんご一家が早く経済的に安定した状態に戻られることを願って止みませんが、今回気づいて下さったことをIさんは恐らく忘れることはないだろうと思います。我慢する心、工夫する心、家族や友人を大切にする心。経済的に豊かな時には忘れがちなそれらのことが、Iさんのこれからの生活をきっと充実させてくれるでありましょう。
 
 私はIさんが気づかれたことは、私たちにも同じように大切なことだと思います。私たちは暖衣飽食に慣れて我慢する心や工夫する心、ものを大事にする心を失ってはいないでしょうか。もう一度、自分の生活を振り返って節水、節電、節食等に努め、少欲知足で得られる豊かさこそ真の豊かさであることに思いを致したいと思います。


 

      不知足の者は富むと雖も而も貧しし、
      知足の人は貧ししと雖も而も富めり…
              仏垂般涅槃略説教誡経









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