”あきらめない” №286

”あきらめない” №286
平成26年 9月19日


“あきらめない”
 
 先日、鎌田 實さんの講演を聴く機会がありました。介護老人保健施設の中四国大会で「“がんばらない”けど“あきらめない”命を支えるということ」と題する鎌田さんの記念講演があったのです。たより前号で長寿時代の生き方を考えましたが、鎌田さんの講演もそれに関連することでしたのでその一部を紹介したいと思います。
 
 ご存知の方も多いと思います。諏訪中央病院の名誉院長、鎌田さんは、これまで専門の医療だけでなく、チェルノブイリやイラクを初め東日本大震災被災地等の支援事業を継続されておいでですが、その支援金額はすでにチェルノブイリに14億円、イラクに4億円ということですから何と大きな働きをして下さっているかと思います。
 
 その鎌田さんの原点は、若い時に脳卒中のおじいさんを助けたことにあるといいます。必死の治療でおじいさんの命を救ったものの、そのすぐ後で畑仕事が出来なくなったおじいさんは生きがいを失ったことに気づかされて愕然としたというのです。鎌田さんはその時、命があっても生きがいがなければ人は生きられないということを学んだといいます。
 
 鎌田さんは言います。すべての人が情を持っている。その情を持った人間が健康に過ごすために必要なことは生き甲斐であり絆である。夢と希望がなければ人は生きられない。夢や希望があればたとえ貧乏でも幸せに生きることが出来る。私たちはそのためにいつも目標を持ってあきらめないことが必要と。
 
 鎌田さんはこうも言われました。ギリギリの状況を支えてくれるのは人間と人間の絆である。しかし、東北の被災地では三年前あれほど言われたこの絆という言葉が忘れられようとしている。皆さんへのお願いは、99%は自分のために生きていいけれど、あとの1%を誰かのために生きて頂きたい、と。重い言葉でした。
 
 眼の腫瘍のために15歳で亡くなったイラクの少女の話もありました。少女の描いた絵が六花亭のチョコレート箱になり、その売上金がイラクの子どもたちの支援基金になっているというのです。自分は死んでも自分の絵が同じような子どもたちを助けることに喜びを感じると言って亡くなった少女の気高さに胸当たれました。
 


             例えば被災地では、自分がここの住人
            だったら何をして貰いたいか。
          それを考えることが第一です。   
                     鎌田 實











0 件のコメント:

コメントを投稿