アサギマダラ №290

アサギマダラ №290
平成26年10月17日


アサギマダラ
  
 つい先日のことです。この観音寺の庭にアサギマダラが来ました。皆さまご存知、あのきれいな“旅する蝶”です。この蝶、いまではすっかり有名になりましたが、と言って、いつでもどこでも見られるという蝶でもありません。季節としては秋、今頃が一番ですが、問題は蜜を吸う花、フジバカマが咲いていないと難しいのです。
 
 寺に来てくれたのはたった一頭ですが、それはフジバカマが咲いていたからです。お花守のYさんご夫妻が昨年植えて下さったフジバカマが今年花を咲かせ、その花のところに来てくれたのです。ひらひらと優雅に舞う姿を見た時は、浅黄という名前通りの薄青い色、その飛ぶ姿に思わず声を上げたくなるほどでした。
 
 冒頭、アサギマダラを“旅する蝶”と申し上げましたが、その記録の中には、20118月に北海道函館で放された蝶が2カ月後の10月、この下関市のリフレッシュパーク豊浦で発見されたというのもありますし、確認されている長距離では和歌山で放された蝶が、83日後に2500㎞先の香港で見つかったという記録もある驚くべき蝶なのです。
 
 アサギマダラが、その渡りの途中、フジバカマの咲くところに羽を休めるのはフジバカマに含まれるアルカロイドという毒を摂取するためだといいます。アサギマダラは幼虫の時にもアルカロイドを持っているガガイモ科の植物を食草にするといいますが、同時に鮮やかな体色を持つのは毒を持っていることを知らせる警戒色だと言います。
 
 しかし、私が一番驚き、また不思議に思ったのは、寺のフジバカマをどうして知ったのかということです。寺のフジバカマはまだ数本しかありません。その僅かなフジバカマをどうして見つけることが出来たのか。Yさんはそれは香りであろうと言われます。アサギマダラにはフジバカマの香りがそんなに感じ取れるのでしょうか。
 
 アサギマダラを見た日の翌日、別の一頭が来ました。朝のうち姿を見せてほぼ一日、その二頭は花を離れませんでした。観音寺のフジバカマを特別気に入ってくれたかどうかは分かりませんが、静かな秋の陽ざしの中にゆったりと舞い、花にとまって羽を休める姿には嬉しくも有難いものがありました。珍重珍重。


  


          池作れば月宿る









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