平和ボケ №313

平和ボケ №313
平成27年 3月18日


 平和ボケ 
 
 ちょっと前のことになりますが、NHKのラジオ深夜便で、日本在住のアフガニスタン医師、カレッドさんという方のお話がありました。カレッドさんは日本で医学を学びましたが、1979年のソビエトによる侵攻で祖国に帰れなくなり、いまは日本で医師として働きながら祖国の医療や教育の振興のために行き来されていると言います。
 
 そのカレッドさんが、私たち日本人を“平和ボケ”と言われるのを聴いて全く同感の思いを禁じ得ませんでした。ソビエトの撤退後もなお内戦による政情不安が続くアフガンの人から見れば日本は平和の天国でありましょう。でも私たちはいまその平和に慣れ切って平和の有難さを思うことも大事にすることも忘れてはいないでしょうか。
 
 平和ボケ、という言葉は以前、憲法第九条の大切さを訴え、それを守ろうとする人々に対して批判的に使われました。当時言われていた「一国平和主義」という言葉も同じでした。今はもうそんな時代ではないと主張する人たちが、護憲派に対して“平和ボケ”という言葉を批判的かつ嘲笑的に投げつけたのでした。
 
 しかし、実は“平和ボケ”と批判する人こそ”平和ボケ”なのです。今年戦後七十年、これまでわが国が戦争せずに来られたのは、ひとえに憲法第九条のお蔭です。日本はこれからも憲法第九条を守り、それを世界に広めて世界平和に貢献しなくてなりません。憲法九条の貴さ、有難さを思わないことこそ“平和ボケ”なのです。
 
 カレッドさんは、お話の中で日本の人々が「平和の有難さについて考えていない」と言われました。誠にその通りだと思います。いま日本は「戦争する国」になりつつあります。戦争になったら今論議されている歯止め等吹き飛んでしまうのはもちろんです。その時はもう後戻りはできません。後悔先に立たず。いまが最後の時です。
 
 天皇陛下は折に触れて戦争の反省と憲法の大切さを述べておられます。つい先達ては皇太子さまも55歳のお誕生日会見で、日本の平和と繁栄は憲法を基礎に築き上げられた、と平和の大切さを述べられました。私たちもいま陛下、皇太子さまのお心に習って平和への決意を新たにしなくてはなりません。

  



           若者よ、目を覚ませ。
           戦争で殺し合うのは君たちなのだ。
                   <野坂昭如>








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