人間の真実 №337

人間の真実 №337
平成27年 9月 1日


人間の真実
 
 ここ数年、思いを巡らしていて確信に至ったことがあります。人間の一生、人生の目的は自分の願望と責務の遂行にあるということです。人は人として生まれて人生を模索します。それは文字通り模索ではないでしょうか。その手探り同然の人生の末に、自分の人生の責務に僅かでも関わることが出来たと思えたら幸せではないかと思うのです。
 
 私がそのように思い至ったのは、私が輪廻転生を信じているからです。お釈迦様の教えの根本は諸行無常ですが、私は輪廻転生も「諸行無常」と同義語だと思います。古代ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスも「万物流転(パンタレイ)」と言っているように、すべてのものは一瞬のよどみもなく永遠に変化し続けるのです。

私たち人間も同じです。生の先の死、死の先の生を繰り返すのが人間です。それは自然の摂理です。そして人間にはその摂理と同時に再び人間に生まれたいという願いがあります。人はこの願いなくして生まれることはありません。道元禅師は「願生(がんしょう)()娑婆(しゃば)国土し(きた)れり」と言われました。私たちは願ったからこそ生まれさせて頂いたのです。

では、人は何故また人間に生まれたいと願うのでしょうか。それはひとえに今生で出来なかったことを次生で叶えたいと思うからです。人が人に生まれたいと願うのは人間に生まれてしたいこと、しなければいけないこと、つまりは自身の人生の目的があるからです。しかし、それが達成出来ることはまれです。全く出来ずに終わることさえあると思います。

自分が今生でしようと思って出来なかったこと、しなかったことは、死後大きな反省となり、それがそのまま次生の願望と目標になるのです。でも、また同じ結果になってしまうかも知れません。私はそれが普通だと思います。完成なんてないのです。私たちの人生はいつも未完成に終わります。大切なことは着手と継続なのです。

 人生とは自分が何を望んで生まれて来たのかを考えること。そして思い当たったことを実行に移すこと。それを継続すること。その積み重ねこそ人生ではないでしょうか。悪戦苦闘、そこにこそ人生の意味があります。私はまだそれが分かっていません。どこまでいけるか、残された時間、考え続けていきたいと思います。

 


         私の存在の深みの中に神秘な呼び声が聞こえる。
         「お前の仕事の目標を私の霊光で照らし、
         お前を奉仕する存在にせよ」
                 R・シュタイナー













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