マイナンバー考 №343


マイナンバー考
平成27年10月5日
 国内に住民票があるすべての人に割り当てられる12ケタの番号、マイナンバーの通知が今月から始まります。この105日が割り振りの基準日になっていて中旬以降、そのマイナンバーが記されている通知カードが私たちに届けられ、来年1月以降、申請する人に「個人番号カード」を交付するという段取りになっています。

 マイナンバー法はその目的に「公正な給付と負担の確保」「行政運営の効率化」「国民の負担軽減と利便性向上」を掲げていますが、主眼は税や社会保障をめぐる「公正な給付と負担の確保」です。むろん、行政の効率化や国民の負担軽減と利便性向上もありましょうが、狙いは銀行などの預貯金へのひもつけによる徴税強化、脱税防止でありましょう。

 一方、政府が考えている利用の拡大にはメタボ健診へのひもつけ、戸籍、パスポ-ト、健康保険証などがあります。となると、前述した預貯金へのひもつけによる所得や資産の把握ばかりか特定健診とのひもつけで医療情報、病歴、出自などという個人情報さえもがマイナンバーに把握されてしまうことになります。

 不安はさらにあります。個人情報の集積によって思想信条まで推測されてしまう心配です。もちろんマイナンバーの個人情報は定められた目的以外には使えず、それを監視監督するための委員会がありますが、それがどこまで機能するかは疑問ですし、情報がいつどこで漏洩するか分からない以上、個人情報の悪用という危険が常に存在するのです。

 このように考えてくると、マイナンバーは私たちにとって便利というよりも不安な面の方が多いのではないでしょうか。やがてマイナンバーが犯罪捜査にも利用されることになれば、時の政府に不都合な組織や人間が摘発・拘束されるのではないかという心配まで出てきます。それは国が国民を監視する管理国家になるということなのです。

 申し上げた心配を杞憂に終わらせるためには、このマイナンバーが国家のためでなく国民のためになるよう監視を続けなくてはなりません。この問題に詳しい日弁連の坂本(まどか)さんは、焦ってカードを取得する必要はない、言われています。どうぞ皆さんもマイナンバーに目を光らせて頂きたいと思います。
 

     マイナンバーの際限のない利用拡大は
     監視国家・管理国家化の入口かも知れない。
               ~坂本 円~

0 件のコメント:

コメントを投稿