心の美容 №345


心の美容
平成27年10月18日
 先日、1011日の毎日新聞に海原純子さん(日本医大教授)の「黄身を残す若いカップル」という話が載っていました。海原さんの友人が入会しているスポーツクラブの朝食が美味しいという評判を聞いてそのレストランに行かれた時の目撃談です。その日、ビュッフェ形式のテーブルにはフルーツや卵、パン、ヨーグルト等が並んでいたそうです。

 で、話というのは、海原さんの隣の席に座った若いカップル二人のことです。二人の皿にはゆで卵が6個ずつ載っていたのだそうです。海原さんが見ていると、二人が卵の殻を割り始めたので二人とも6個も食べるのだろうかと思ったそうです。ところが、何と二人は「黄身と白身を器用に分けて、白身だけを食べ黄身をすべて残した」というのです。

 これを見て海原さん「思わず唸ってしまった」と言われます。記事を読んだ私も全く同じ思いでした。二人はスポーツクラブに来るほどです。「スタイルも良く無駄な脂肪がどこにもない筋肉質」の二人だったということですから食事にもこだわりがあるのでしょう。が、その食べ方は“あり”でしょうか。許される食べ方でしょうか。

 海原さんは「お金を払えば何をどう食べ、残しても自由である。その人の権利だろう」とはおっしゃりながら「ではあるが、そんな食べ方はどうなのだろう」と疑問を呈し、「権利はあってもそれをしては品がない、というものがある。それは独り占め、分けない、というやり方だ」と言われます。全く同感でした。

 率直に言うならば、その若い二人の食べ方は「礼儀知らず」「身勝手」と言われるべきでありましょう。食事の時の「頂きます」という言葉に象徴されるように人間は他の生物の命を頂いて生きている以上、常に食べ物に感謝し無駄なく大事に食べることを礼儀にしなければなりません。二人はそれを知らないことを恥とすべきです。

 以前も申し上げましたが、いま日本の子ども6人に一人が満足な食事が取れない貧困の状態にあります。飽食と言われるこの時代に、です。何の心配もなく食事を取れることがどんなに有難いことでありましょうか。人はスポーツクラブで体を美しくする前にまず心を美しくしなければなりません。
 

    どんなものを食べているか言ってみたまえ。
    君がどんな人であるか言いあててみせよう。 
           ~ブリア・サヴァラン~

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