一敗地に塗れる №385

平成28年7月 7日

 一敗地に(まみ)れる                          
 
 前号№384(天知る地知る)を作った後、628日の毎日新聞オピニオン欄に辞職した舛添さんについての二つの記事がありました。一つは「無言で都庁を去った舛添さん」と題する北村かずゑさんという方の投稿。もう一つは、「巨大自治体のおごり」と題する武本光政(東京地方部記者)さんの記事です。
 
 北村さんは「政治資金の私的流用の説明も果たさないまま、警護官に囲まれて、無言で都庁を去った」舛添さんに対して「反省・感謝の気持ちがあれば、人生は180度変わるのに」と結ばれていますが、その最後の日をテレビで見ていた私も同感でした。問いかけを無視して歩み去る憤怒の形相には感謝も一片の反省も感じられませんでした。
 
 それに呼応するように、武本記者の記事には「舛添氏がときにのぞかせた“自己顕示欲”と法令違反さえしなければよいとの“おごり”に違和感をぬぐえなかった」という言葉がありました。そしてまた「最後の定例会見になるはずだった今月17日、姿を見せなかった舛添氏に私は落胆した」とも書かれていました。
 
 この二つの記事は期せずして舛添さんの真実を突いていると思います。巨大自治体、東京都知事だというおごり、法令違反でなければ問題ではないという傲慢、そして、強い自己顕示欲を併せ持った氏が結局、問題に対する謙虚な反省もなく、周囲への感謝も見せないまま都庁を去ったことに私も残念な思いを禁じ得ません。
 
 一敗地に塗れる、という言葉があります。再起不可能なほどに大敗するという意味ですが、言ってみれば今回の舛添さんがそれだったと思います。それだけに最後を反省と感謝で締めくくって貰えなかったことは残念です。北村さんがおっしゃる「反省・感謝の気持ちがあれば、人生は180度変わるのに」という言葉には私も全く同感の思いです。
 
 人間に失敗はつきものです。失敗しない人間なんていません。しかし、失敗して人生が終わりではありません。大切なことは失敗した時にそれにどう向かうかです。その向かい方で、その人のその後の人生が変わるのです。舛添さんにその人生を歩んで頂きたい と願って止みません。




         つまづいたって いいじゃないか 
         にんげんだもの
                   相田みつを












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