花は苦労の風に咲け №434


花は苦労の風に咲け
平成29年6月1日


 529日は美空ひばりさんの誕生日でした。昭和12年のお生まれですからご存命であれば今年80歳を迎えられたことになります。でも亡くなられたのは平成元年、52歳でした。それからもう29年になりますが、ひばりさんを記念する番組や催しは一向に衰えを知りません。いかに偉大な歌手であったかということでありましょう。

 そもそも、今年ひばりさんが生誕80年ということを私が知ったのもラジオでその話がされていたからです。先日、NHKのアナウンサーであった山川静夫さんが昭和63年にひばりさんにインタビューしたときの録音を改めて聴きながら山川さんとラジオ深夜便のアンカー徳田章さんがともに偲ぶという番組があったのです。

 ひばりさんはコンサート中に楽屋でちょっとインタビューを受けることは多かった半面、きちんと時間を取ってのインタビューはあまり受けることがなかったそうです。それはインタビューを受けるほどの時間もなかったということでしょうが、それだけに今となってはこの時のインタビューは貴重な記録と言えるのでありましょう。

 山川さんはこの時の印象を含めてひばりさんは「必死」の人だったと言われます。インタビューは前年春、緊急入院せざるを得なかった病気回復から間もなく、411日の東京ドームこけら落としコンサートを目前にした時でもありましたから一層、命がけの思いがあったのでしょう。山川さんの「必死は美しい」という言葉に胸迫るものを覚えざるを得ません。

 言われてみれば確かに、ひばりさんの歌は私たちが必死に生きることを応援してくれる歌が多いように思います。東京ドーム公演のフィナーレが「人生一路」だったそうですが、私はこの歌にいつも励まされる思いがします。石本美由起さん作詞のこの3番に表題の「花は苦労の風に咲け」という言葉があるのです。
 歌詞3番は「胸に根性の炎を抱いて/決めたこの道まっしぐら/明日にかけよう人生一路/花は苦労の風に咲け」です。この歌を聴く時、私は涙を振り払いながら悲しみ苦しみに耐えている人が思い浮かびます。ひょっとしたらひばりさんがそうであったのかも知れません。苦労こそ人生なのでしょう。
 

   一度決めたら二度とは変えぬ
   これが自分の生きる道
   泣くな迷うな苦しみ抜いて
    人は望みを果すのさ 
           (人生一路1番)




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