「臥禅」のすすめ №439

「臥禅」のすすめ
平成29年7月10日

 夜中に目が覚めて眠れなくなってしまった時、皆さんどうされてますか。大方はそのまま目を閉じて再び眠るのを待つのでしょうが、眠ろうとすると益々目が冴えて時間ばかりが経っていくということもありますね。こんな時のために、これはどうかと思ったことがあります。それが坐禅ならぬ「臥禅」なんです。

 臥禅は眠れない時に限るものではありません。寝る前にするのもいいと思います。体位は自由。文字通り横になったまま禅をしてみようという訳です。することはまず呼吸を調えること。そしてもう一つは心を調えること。目が冴えて眠れないならば、それを逆手に臥禅をするのも面白いではないかと思ったのです。

 ご存知のように坐禅の基本は「調身、調息、調心」です。まず結跏趺坐なり半跏趺坐なりで姿勢をきちんとするのが調身。次に腹式呼吸で息を調えるのが調息。そしてさらには浮かんでくる妄想に捉われず関わらないこと。それが調心ですね。坐禅はこの三つをしっかり保って坐禅ということができます。

 私が申し上げる「臥禅」は調身がありません。でも、調息と調心が可能ですから意義はあると思うのです。分けて私は調息に意味があると思います。調息は(かん)()一息(いっそく)(お腹の空気を吐き出すこと)の後、腹式呼吸をするのですが、私はこの腹式呼吸を意識的に続けることに坐禅の意味があると思うのです。

 おすすめしたいのは吸う息と吐く息を12にすること、吸気3秒なら呼気6秒、吸気4秒なら呼気8秒として呼気に意識します。呼気と吸気は自分が無理なくできる秒数にします。慣れないうちは呼気を数えても構いません。36秒なら呼吸10回が1分半になりますね。別に時間を測る必要はありませんが感覚を掴むことにはなります。

 調心、心を調えるためのよい方法は耳を澄ますことです。耳を澄ましていると余計なことを考えなくなります。こうして息を調え心を調えていると、いつの間にかまた眠りに落ちてしまうかも知れません。でもそうなったときはきっと眠りの中でも臥禅が続いていることでしょう。いつでもどこでも、それが坐禅と思います。


      食う寝る坐る息をする 
        一挙一動 これ坐禅なり

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