なまめく春 №470

なまめく春
平成30年2月4日

 今日立春。でも、立春と言ってもまだ冬さなか、立夏の五月初めだって若葉が目に沁みる春さなかですよね。実は冬が極まった時が立春、春が極まった時が立夏。立秋も立冬も同じです。季節の移り目、その季節が絶頂になった時が立春立夏立秋立冬という訳ですから、実はまだ季節の半分は残っています。立春が冬さなかとはそういう意味です。

 でも、立春を過ぎると寒さの冬の中に春の兆しが感じられるようになります。冬が極まるとはそういうことです。ものすべて絶頂を迎えれば衰退に向かいます。季節が冬であれば寒さが次第に緩んで気温地温が上昇します。そして時の経過とともに確実に春が膨らんでいきます。この時期、私はその春を実感することがあります。

 表題の「なまめく春」はそのことです。立春過ぎ夕暮れの庭に佇むと、時に得も言われぬ暖かさと草木の気配を感じることがあります。その瞬間は冬ではありません。明らかに春を感じるのです。それはなまめかしい(若々しい、初々しい、新鮮である)という言葉そのものですが、このなまめかしさはどこから来るのでしょう。

      立春在厳寒    春の立つ日は冬さなか
      地凍雪漫々    凍てつく大地は雪一面
      而地中蠢動    而して地中の木や虫は
      春粧進平安    春の準備に余念なし

 なまめく春は突然やってくるのではありません。まさに冬さなか、大地が凍てつき雪降りしきる大寒の頃すでに草木も虫も春の準備をしているのです。二十四節気をさらに三つに分けた七十二候の「ふきのはなさく」は12024日のことです。今年も120日が大寒でしたからまさに冬さなかの活動と言えます。

 諸行無常とはすべてのものは変化して止まないということでしたね。草木も鳥虫獣もそして季節さえも常に変化を続けています。しかし、その変化は偶然でも突然でもありません。そのものの営々たる努力が変化のあり方を決めています。私たち人間も例外ではありません。なまめく春に合掌。

 

七十二候、立春の時(248日)は
「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」だよ。



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