続「あぶらんけんそわか~」 №477

続「あぶらんけんそわか~」
平成30年3月17日


 このたよりを読んで下さっている神奈川のEさんが子どもの頃、新しい靴を下ろす時にお母さんが「あぶらんけんそわか~」とおまじないをしてくれたという話(№471「あぶらんけんそわか~」)をご紹介しましたね。Eさんにはそのお母さんが魔法使いのように思えたということでしたが、今日はその続きです。

 お母さんが魔法使いのように思えたということ、その後のお話を聴いて分かりました。ちゃんと理由がありました。そのお母さん、おまじないをする時、何故か台所のやかんの胴に両手で靴底を交互に当てながら「あぶらんけんそわか~」と唱えていたのだそうです。子どものEさんにはお母さんの不思議な行為がまさに魔法だったのでしょう。  

 実は今日、続きのお話をお伝えしたいと思ったのは、Eさんのその後の“実践”なのです。長じて結婚されたEさんはお子さんむろんご主人にも靴を下ろす時はお母さんがしてくれたおまじないをされたのだそうです。ご主人には「何してるの」と笑われたそうですが、Eさんは「自分がして貰った“慣習”をしないと居心地が悪くて…」だったそうです。

 私はこの「あぶらんけんそわか~」に学ぶ二つのことがあると思います。一つはこの前にも書きました。素朴な祈り、です。私たち人間は決して自分の力で生きているのではありません。宇宙を司る大いなる力によって生かされているのです。その大いなる存在に対して素直に祈るということ。生活を祈りにすることの大切です。

 そしてもう一つは、私たちは教えられたように生きるということ。逆に言えば教えられなかったことは生きることが出来ないということです。Eさんはお母さんに「あぶらんけんそわか~」を教えられたからそれを生きることが出来ました。これこそが私たちの人生なのです。皆さまが観音さまにお詣りして下さるのもどなたかに教えられたお蔭なのです。

 「あぶらんけんそわか~」を読んで下さった八王子のYさんが「元気に成長してほしい孫たちにも伝えたい気持ちでいっぱいです」とおたよりを下さいました。嬉しいです。素朴な祈りが親から子へ子から孫へと伝わっていくことこそが人生です。どうぞ皆さま、これからもお孫さんひ孫さん達に祈りの生活を伝えて下さい。
 

 桃子 お父ちゃんはね
 早く()くなってお前と遊びたいよ
           ~「春」八木重吉~


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