月の満ち欠け №571

月の満ち欠け
令和二年1月17日

 今年、一番目にするカレンダーを月の満ち欠けが描かれたものにしました。かねがね、ほしいと思っていたのですがなかなか手に入らなかったのです。このカレンダーをお使いの方はご存知の通り、月カレンダーには新月から満月、満月から新月に到る毎日の月がどんな形をしているかが絵で示されているのです。

 以前申し上げたことがありましたね。私たちがよく口にする月の形には三日月、上弦、満月、下弦などがありますが、天体的に言えばそれらを示す時刻があります。天文学的には三日月という瞬間、上弦という瞬間、満月という瞬間があるのですね。ということは、月は新月から満月、そしてまた新月に戻るまで一瞬も留まってはいないということです。

    色即是空   すべてが空で

    空即是色   空なるすべて

    色即無常   すべてが無常

    空即無常   空とは無常

 昨年のこのたより(№559)で「空即無常」ということを申し上げました。「空即是色」を三段論法のAとし、「諸行(色)無常」をBとすればAイコールC「空即無常」となり、色即是空というのは色即無常、諸行無常に返るということでした。このことを思いついてから私は仏教の教えは「諸行無常」に尽きるという思いでいます。

 上の今日初観音の法語はその思いの延長です。般若心経は「色即是空・空即是色」だと言います。観音さまは「五蘊皆空」であることを「照見」して「一切苦厄」を超越することができたと言います。五蘊とは色受想行識、人間の肉体と精神を言っていますが、結局、「五蘊皆空」も「諸行無常」と同義語でありましょう。

 改めて申し上げます。私たちが見ているお月さまは日毎に形を変えています。それはお月さまが一日たりとも同じ形ではないということです。いえ一日どころではありません。一瞬一刻たりとも同じ状態に留まってはいないのです。それはものみな全てがそうなのです。私たち人間も例外ではありません。月と同じように。
 
 
 
 生き物は時間を刻む時計です。自分自身が時計なのです。
 

 

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