万物流転 №644

 万物流転

令和3年8月10日 

 よ~し来い 負けるもんかと 炎天の 日差しの中に 傲然と立つ

 いやはや今年も何という暑い夏でしょう。外に出れば灼けるよう。部屋の中でもうだるよう。「〽もうどうにもたまらない~」ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。上の一首は暑中見舞い状にしたためた拙詠です。

 でも、いくら強がって「傲然と」立ってみても暑いことは暑い。下手すれば“年寄りの汗水”で熱中症になりかねません。私のような年寄りにとってはコロナより怖いのが熱中症ではないでしょうか。気合いは大切ですが気合いだけではいかないのが暑さ寒さです。どうぞ皆さまもお大切にお過ごし下さいますよう。

      炎々酷暑覆辺城     何と言うべきこの暑さ  

      草木悉皆寂無声     すべてが黙すその中に

      其中一陣涼風至     思いもよらぬ秋の風

      黙示万物流転営     移りゆくのがこの世だね

 上の詩はこの夏の暑さを思っての一編です。辺城というのは片田舎という意味。町中のものが暑さに打ちひしがれ静まり返って声を出すものもありません。でもその暑さの中に一陣の涼風。一瞬の秋を感じさせました。立秋は夏の頂点です。立秋になっても暑さは続きますがその暑さの中に秋の涼しさが忍び込むのです。

 古代ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスに「万物流転(パンタレイ)」という言葉があります。

ヘラクレイトスは「闇の人」とあだ名されただけあってその箴言は晦渋を極めると言われますが、この「万物流転」は言葉通り「すべてのものは流動変化して極まりない」と素直に解釈してよいものでありましょう。

 この万物流転を私たちに馴染みのある言葉で言いかえれば「諸行無常」がそれだと思います。

万物は諸行、流転は無常です。お釈迦さまもヘラクレイトスも生没年は未詳ですが言い伝えではヘラクレイトスが若干先かも知れません。いずれにしてもすべてのものは変化し続けるというは真実に違いありません。

  音もなく香もなく常に天地は

書かざる経を繰りかへしつつ

         二宮尊徳

 

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