また「諸行無常」 №664

 また「諸行無常」

令和4年1月17日

 間もなく大寒ですが、皆さまこの冬は昨年より寒いと思いませんか。暮れにはクリスマス寒波があり年末寒波もありました。クリスマス翌日の26日には積もるほど雪が降りましたね。この時は日本海側の各県が大雪になったようですが下関市の山陽側で年内に積もるほどの雪が降ったのはここ数年なかったように思います。

 私がこの冬は寒いと思う理由はもう一つあります。それは朝風呂です。朝5時前に起きて坐禅して続いて祈祷と朝課で2時間近く火の気のないところにいると全身が冷え切って風呂に入らずにはいられないのです。この冬は12月早々からそれになってしまいました。去年は殆ど朝風呂をしていませんから去年とは全く違うのです。

 いえ、何でこんな話かと申しますのは夏冬がどんなに暑かろうが寒かろうが万物が変化していくことには全く関係がないと思ったからです。表題の言葉「諸行無常」は毎回申し上げている通り「一切のものは常に変化して止まない」ということですが。まさにその一切のもの、人間や動植物はもちろん無生物さえ変化し続けるというのが諸行無常なのです。

     青天朗々清澄朝    空朗らかに清き朝

     厳寒愈増万物寥    すべては寒さに静かなり

     而草木続地中営    されど草木は営みやめず

     耐寒精進待春跳    じっと堪えて春を待つ

 上は今日初観音の法語ですが、これに言う通り寒中厳寒のいまでさえ草木は地中の営みを続けています。草木は温かい春になったら花を咲かせ芽を出してまた一年の活動をします。しかし、その活動はある時ある瞬間に始まるのではありません。一刻の休みもなく続けられる活動によって花が咲き芽を出すのです。文字通り「不断」の営みの結果なのです。


 以前、無常に関連して月の満ち欠けを申し上げたことがありましたね。月の満ち欠けは無常そのものです。不断の無常の中に上弦があり満月があり下弦がありますが、その上弦も満月も下弦も無常の中の一瞬なのです。人間の一生また然り。無常に生きている私たちは不断の営み、不断の努力を怠ってはなりません。珍重。


千里の行も足下に始まる

(千里に道も一歩から)  

       老子(第64章)

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